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男性更年期、女性も知っておきたい3つの症状と対処法

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「リラックス」が勃起の必要条件


勃起を得るためには、精神的にリラックスしていることが大前提になります。リラックスしているときに働く副交感神経によって、陰茎は勃起するようにできているからです。緊張していると交感神経が優位となり、勃起は起こりません。重要な会議中や100メートルダッシュのようなハードな運動時、腹立たしいことがあってイライラしているときは、交感神経が優位の状態です。こういったシーンで勃起する人はいません。「セックスは戦いだ」などといわれていることもありますが、本当の意味での戦闘状態ではありません。勃起には性的興奮は必要ですが精神的にはゆとりが必要です。
40歳を過ぎて勃起力の低下を感じると、不安感が生じます。不安な気分のときは交感神経が優位になっていますから、さらにマイナスの影響を与えてしまいます。そして、どんどん勃起しにくくなってしまうという負のスパイラルにはまってしまう人も少なくありません。

では、どうしたらよいのでしょうか。まずは、男性が自分自身の年齢ならではの変化を受け入れること、それをパートナーに話して理解してもらうことです。
「最近あまり元気にならなくなったから途中で終わるかもしれないよ」
「回数はできなくなったけど年齢のせいだから気にしないでほしい」
そうパートナーに話すことは難しくないと思います。ときには互いに触れ合うだけで、挿入がない日があってもいいでしょう。なるべくお互いリラックスできる言葉がけや環境づくりができれば、自然とセックスに至ることもできるでしょう。


勃起力の低下が性交痛に


勃起が十分でなくなると、セックスのときに挿入しにくくなるほか、挿入時に女性器へ痛みを起こしやすくなるという問題もあります。中高年期の性交痛の原因は女性器の萎縮だけでなく、男性器の勃起が十分でないこともあるわけです。
婦人科の診察で使うクスコという器具がありますが、これは内診する際に使う硬い金属製の筒状の器具です。膣内に挿入する際、非常にスムーズに入っていきます。なぜかというと、硬くてツルツルしているからです。同じように、十分に勃起をしていると滑りが良くなるので挿入しやすく痛みを生じさせにくいのですが、中途半端に柔らかいと摩擦が多くなるため、膣壁に引っかかりやすくなって痛みが生じます。硬度の弱い勃起力の中高年男性と、膣分泌の潤いが足りない中高年女性ですと、挿入時に困難が生まれやすくなってしまうというわけです。中高年期の快適なセックスのためには、勃起の質を良くするED治療薬に加え、潤滑剤も併用しましょう。

 

今井 伸

聖隷浜松病院リプロダクションセンター長、日本性学会幹事、同会認定セックスセラピスト。島根大学医学部臨床教授、日本泌尿器科学会指導医、専門医。日本性機能学会専門医、評議員。日本生殖医学会生殖医療専門医。男性更年期障害、性機能障害、男性不妊、尿路性器がんを専門に扱う。講演会、セミナー等で青少年期から老年期までの本当に正しい性知識の普及に務める。

 

 

『中高年のための性生活の知恵』

日本性科学会セクシュアリティ研究会 著 アチーブメント出版 

なぜ自分は拒否されるのか? なぜ求める気持ちになれないのか? 性のスペシャリスト6名が現場で得た知見、そして中高年男女2590人のアンケートからわかった現代日本の性の真実のすべてをまとめた一冊。寂しさとは無縁の第2の新婚期を迎えるために読むべき大人の性教育書。

『中高年の性生活の知恵』の出版記念講演会が7月29日に開催。司会に小島慶子さんを迎え、今井伸先生をはじめとした6名の先生方によるお話が見もの。詳しくはこちらから


構成/國見香、片岡千晶(編集部)


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