「自律神経」や「腸」など、健康に関する数々のベストセラー本を手がける順天堂大学医学部の小林弘幸教授。小林教授によると、病気が寄り付かず、いくつになっても元気な「病に嫌われる人」と、自ら病気を引き寄せてしまう「病に好かれる人」がいるのだとか。その原因となる、毎日の生活の中での行動について解説した『病に好かれる人 病に嫌われる人』の著者でもある小林教授に、今回はお酒を飲むときの習慣について伺いました。

 


お酒を飲むときは同じ量の水を飲む


お酒は、適量なら悪くありませんが、飲みすぎは病を引き寄せる最悪の習慣です。
なぜなら、お酒の飲みすぎは自律神経のバランスをくずすからです。
アルコールは一種の興奮剤なので、交感神経を刺激し、副交感神経を低下させる作用があります。
深酒をすると、体内に分解しきれなかったアルコールが長時間残り、その間ずっと交感神経が刺激され続け、血管の収縮も長時間続きます。
さらにアルコールが体内で分解・解毒されるときには、水分が使われるので、体は脱水状態になります。実はこれはとても危険な状態です。
血管の収縮が続くだけでも血流は悪くなりますが、そこに脱水が加わると血液の濃度が濃くなるので、血流はさらに悪くなります。
このドロドロした血液が収縮した細い血管を通るとき、血管の内皮を傷つけ、血管にダメージを与えます。これがさまざまな病気の引き金になるのです。
このような事態を避けるために、お酒を飲むときに必ずしていただきたいのが、お酒と同じ量の水を飲むということです。
水を飲めば、脱水状態が軽くなり、血管のダメージも防ぐことができます。

 

メリットはこれだけではありません。
お酒を飲みすぎると、気持ち悪くなって吐いてしまうことがありますが、これはアルコールによって消化器の働きを司る副交感神経が極端に低下し、腸が麻痺して動きにくくなって逆流してしまうためです。
しかし冷たい水を飲むと、〝胃結腸反射〟が起こるので、腸の麻痺を防ぐことができます。腸管が動いていれば副交感神経も刺激されるので、副交感神経の過剰な低下も防げます。
ですからお酒を飲むときは、同量の水を飲むことを欠かさないようにしてください。
ただ、飲酒量が多い人は、どうしても血管がつまりやすくなり、病気を引き寄せやすいことは覚えておいてください。
そして、飲んだ翌朝のコップ1杯の水も忘れずに。


小林弘幸(こばやし ひろゆき)
順天堂大学医学部教授。日本体育協会公認スポーツドクター。自律神経研究の第一人者として、プロスポーツ選手、アーティスト、文化人のコンディショニング、パフォーマンス向上指導に携わる。また日本で初めて便秘外来を開設した「腸のスペシャリスト」でもあり、現在、便秘外来の初診は9年待ち。著書に『なぜ、「これ」は健康にいいのか?』(サンマーク出版)、『死ぬまで歩くにはスクワットだけすればいい』(幻冬舎)、『聞くだけで自律神経が整うCDブック』(アスコム)など、多数の大ベストセラー書籍を上梓。

 

『病に好かれる人 病に嫌われる人』
著者 小林 弘幸 1000円(税別) 講談社


病気になる要因は「遺伝が25% 生活環境75%」。「病気になる人」と「病になりにくい人」には、人生の様々な場面において決定的な行動の違いがいくつかあります。医師である著者は「あの日、あの時、ああしておけば!」と、最期に後悔してきた患者をこれまで数多くみてきました。健康寿命の長い人たちがとっている行動とは? 一生単位、一年単位、一日単位でのさまざまな健康行動について語ります。自分のかけがえのない健康を「運」任せにしてはいけません。大切なのは「行動」です。その行動があなたの「健康寿命」を伸ばすのです。

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構成/生活文化チーム

出典元:https://kurashinohon.jp/1111.html

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