投資はまずどこから手をつけたらいい?
 

――4つめの「投資をする」ですが、「投資でお金をもうけるなんて、汚い」と考える人もいるようです。

藤野:そういう人こそ、頭の中はお金のことでいっぱいですよ(笑)。「お金があれば幸せになれる」「今幸せでないのは、お金がないからだ」と思っているからです。

投資というと、お金持ちのものや、楽をしてもうけるものだと考えがちですが、決してそうではありません。今は初心者の人でも、月5000円や1万円くらいの少額で、じっくり積み立てて資産形成ができる仕組みがあります。さまざまな資産に投資できる「投資信託」がその一例です。

投資信託を、「つみたてNISA」や「iDeCo(個人型確定拠出年金)」という税制優遇制度を使って積み立てで買っていく方法がおすすめです。通常は投資で得た利益に対して税金がかかるところ、これらの仕組みなら税金がかかりません。

iDeCoは老後資金を貯める目的なので、60歳まで引き出すことはできませんが、積み立てている間は、その金額の全額が所得控除の対象になるのは大きなメリットですよ。

――投資初心者は、どのくらいの金額で始めるのがおすすめでしょうか。

藤野:まずは、資産の10%くらいを投資に回してみよう、とお伝えしています。預貯金が100万円あったら、10万円くらいで投資を始めてみるのです。もし10年で2倍の20万円になったらうれしいですよね。逆に10万円がゼロになったとしても、資産の100万円が90万円に減っただけなので、人生がそれで終わりにはならない。

まずは1万円、それぐらいの軽い気持ちで挑戦してみることは、大事です。それこそが前回お話しした「幸福最大化戦略」で、楽しく生きていく秘訣だと思うから。

――藤野さんご自身は、どんなところにお金を使っていますか?

藤野:僕は、大切な友人との食事や旅行、あとは個人的な趣味ですね。一番お金を使うのはピアノ。今もピアノを習っているんですよ。他にも趣味がたくさんあって、将棋や社交ダンスも好きですね。

そうやって「アクティブに人生を楽しむこと」と「投資」というのは、つながった世界観だと感じます。どういうものが楽しめるのか、どういうものが世の中でヒットしているのかを見ていくことは、趣味も投資も同じですから。

――忙しいなか、やりたいことを全部やる秘訣はあるでしょうか。

藤野:うーん、どうでしょう。僕はスマホを見る時間を減らすとことはなくて、逆に普通の人の3倍は見ていると思います。ニュースもSNSも見るし、本も雑誌も読む。睡眠時間は少ない方ですが、最近はなるべく寝るようにしています。ただ、1日24時間と限られる中でいろいろやるには、2つ以上を同時に行う「ながら」が多いかもしれません。自分なりに効率のいい方法で、とにかく集中することでしょうか。

――これから「投資」を始めてみたい読者へアドバイスをお願いします。

藤野:投資というと、日本では「今日はいくら損した」などと、短いスパンで考えてしまい、結局すぐにやめてしまう人が多いです。投資は子育てと一緒で、すぐに大きくならないし、我慢も必要。忍耐強く続けることが大事なんです。

日本人は「今」に集中するのは得意ですが、「10年後、何をしたいですか?」と聞くと、返答に困る人が多い。未来に対して行動して、投資するのが苦手ですよね。未来を信じる力がないと、投資はできません。

子どもだって、行ったりきたりして大きくなっていくわけで、自分たちもそうやってゆっくり育ってきたはず。10年や20年の未来を信じて子どもを支えていくのと同じように、投資も時間をかけてじっくり取り組んでいくことが大切です。

撮影/水野昭子
文/西山美紀
構成/片岡千晶(編集部)

 

 

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