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雅子さまの語学力を育んだ「家庭の方針」とは?〜幼少時のアメリカ生活と好きな童話

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アメリカの歴史を語ってくれた父


1969年(昭和44年)9月、雅子さんはニューヨーク市立第81小学校に入学しました。雅子さんにとって、2年10カ月のアメリカ・ニューヨークでの小学校生活はさぞ楽しかったことでしょう。
アメリカの小学校の昼食は、3つのスタイルから選べます。学校給食、お弁当持参、それに家に帰って食事をしてくることです。
優美子さんは、雅子さんにお弁当を持たせてあげました。そのとき、こんなことがあったそうです。

「(お弁当を)食べやすいようにおにぎりにしてあげたのですが、私がうっかりして箸を入れ忘れたことがありました。すると、アメリカ人のお友だちに『日本人はおにぎりを手でつかんで食べて、きたない』と言われてしまったらしいんです。『ちゃんとお箸を入れて』と、マーちゃん(雅子さん)にひどく叱られました」

家族そろってドライブをするときの運転手は、父の恆さんです。優美子さんが助手席に座り、必ず手づくりのお弁当を持って出かけました。
行く先は近くの公園や動物園のことが多かったのですが、週末を利用して、フィラデルフィアまで足をのばすこともありました。フィラデルフィアにはアメリカ独立の歴史的記念物もあり、恆さんはまだ小学生だった雅子さんに、アメリカ独立の歴史をわかりやすく語って聞かせました。

雅子さま5歳。双子の妹たちとニューヨーク郊外をドライブ。写真/宮内庁提供

恆さんは、東京大学を卒業後、外務省からイギリスのケンブリッジ大学法学部に留学しています。もともとは2年の予定でしたが、成績が優秀だったために、さらに2年留学期間を延長したほど勉強好きだったといいます。


ハロウィーンで骸骨の仮装をして楽しむ


アメリカでは、子どもたちは秋のハロウィーンを楽しみにしています。ハロウィーンの日には、工夫を凝らしたさまざまな仮装をして楽しむ習慣があります。おとぎ話の王子さまや王女さま、まんがの人気キャラクター、歴史上の人物……。
子どもたちはそれぞれ好みの衣裳を手に入れて、ハロウィーンの日を待ちわびます。雅子さんも骸骨の扮装をして、アメリカ人の友だちと遊んだそうです。近くのショッピングセンターのハロウィーンの衣裳コーナーに何回も通って、奇抜な骸骨のスタイルに決めたといいます。
衣裳の効果もあったのでしょう。雅子さんと妹たちは、アパートの中の家庭を回って、3人では持ちきれないほどのお菓子やおもちゃをプレゼントされて帰ってきました。いただいたお菓子やおもちゃを、雅子さんはあとあとまで大事に箱にしまっていたそうです。


語学力の元になった家族全員での赴任地生活

雅子さま7歳。双子の妹たちとブランコに。軽井沢のホテルにて。写真/宮内庁提供

小学校の担任フィーリス・タンドリス先生は、雅子さんの英語力についてこう語っています。
「わずかな期間で短い文章を英語で話すようになり、発音もきれいで、質問には完全に答えられました。英語の他には、算数と図工がよくできましたね」

小和田家の教育方針は、恆さんの海外への転任でも必ず家族全員で赴任地で生活するというものでした。たとえ、子どもたちの転校というハンデがあっても、原則として、父が外国に赴任したら子どもたちも親と一緒に暮らすのです。
「子どもは親の背を見て成長することが大切だからです。のびやかな精神と優しい心を持った子に成長してほしかったのです」
国際法の世界的権威であり、ハーバード大学の客員教授も務めた父の恆さんは、1993年(平成5年)1月19日の記者会見でこう語っていました。こういった父恆さんの教育方針と、母優美子さんの愛に包まれて、今の優しい雅子さまにお育ちになったのでしょう。

 

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本文、キャプションは過去の資料をあたり、
敬称・名称・地名・施設名・大会名・催し物名など、
その当時のものを使用しています。
写真/渡邉みどり(クレジットのないもの)
構成/高木香織、片岡千晶(編集部)
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