【デリケートゾーンのケアの常識】40代からは膣ケアがトラブル解消に
「膣萎縮」予防には、
膣への刺激が不可欠!
膣の老化が原因で起こるもうひとつの気になる症状が、「膣萎縮」。こちらも40代後半頃からの予防が肝心だそう。
「更年期を迎えると女性ホルモンの分泌が低下し、膣粘膜からの分泌物が減少します。また、膣壁のコラーゲン量も低下するため、膣は乾燥し、萎縮して硬く縮んでしまいます。これがいわゆる『膣萎縮』です。
最近、50〜60代の患者さんで20年くらい性交渉をしていなかった方が、久々に性交渉をしてみたところ痛くて入らなかったという話をよく伺いますが、みなさん、閉経後に膣がどのように変化するかということをご存知ないんですね。指を入れてみればすぐにわかるはずですが、日本人は自分で触らない女性が多いので、何かの機会に気づいた時にはカチカチになってしまっていることも。そのまま放置すると、性交痛だけでなく、乾燥やかゆみ、痛みといった症状を引き起こすこともあります。
閉経の平均年齢は50歳前後と言われていますが、その後、膣を放っておくと1〜2年で萎縮してしまいます。個人差も大きいため、45歳くらいから予防の意識を持つことが大切です。
膣に限らず、身体の器官は長い間使わないと機能しなくなってしまうのですが、それもまた『膣萎縮』の原因のひとつ。
たとえば、定期的に性交渉をされている場合は、顕著な症状が現れないケースもあります。以前、別の治療で通院されていた70代の患者さんは、夫婦で定期的な性交渉があるとのことで、30代と変わらないくらい膣内の潤いがありました。
ですから予防策としては、性交渉でなくとも刺激し続けることが肝心。ご自身で行うなら膣内のオイルマッサージがおすすめです。清潔な指に専用のオイルを垂らし、血行をよくするイメージで膣内をマッサージしてください。お風呂上りに2〜3分、毎日が負担であれば2〜3日おきでも構いません。
マスターベーションでもいいですよ。指でもセックストイでも問題はありませんが、膣の中を刺激することがポイント。何もしないのとは雲泥の差が出ますので、覚えておいてください。」
目に見えず、老化に気づきにくい部分だからこそ、症状が出る前に予防策を講じておきたい膣の中。膣トレも膣内マッサージも、まずはできる範囲で試してみてはいかがでしょうか?
次回は、色や形など、実は人知れず悩んでいる方も多いという女性器の悩みとその解決方法についてお届けします。
取材・文/村上治子
構成/片岡千晶(編集部)
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喜田直江(きだなおえ)
平成13年、京都府立医科大学卒業後、産婦人科医として多数の分娩・手術症例を経験。平成15年、形成外科医として形成外科の基本から縫合の技術まで幅広く習得。平成18年大手美容外科にて美容外科・美容皮膚科全般を習得。特に婦人科系の美容手術は日本でも優秀の症例数を誇る。平成23年10月、東京・銀座に「なおえビューティクリニック」を開院。日本形成外科学会会員、日本性科学会会員、ビビーブ認定医、ウルトラヴェラ指導医。著書に『女性器コンプレックス 愛する人と交われない女たちの苦悩』(幻冬舎)がある。