銀座線に乗った。

会社の奥平くんもいっしょだった。くん、といってもひとつ先輩。40だろう。

 

銀座線の車体が、昔のデザインに近い、全体的に黄色になっていた。

なんだかなつかしく感じた。

 

「なつかしいですよね」

奥平くんに私は話しかけた。

「はい?」

「だから銀座線の色。これ、全体が黄色いでしょ?」

「ああ……けどべつに、懐かしい感じでは……」

「え? 昔、車両全体が黄色かったのは覚えてるよね?」

「う~ん。なんとなく?」

「はい?! あれ奥平くんって、出身どこでしたっけ?」

「関東ですけど」

「関東ってどこよ」

「浦和っす」

「ああ、そうなんだ……」

 

銀座線は、新橋から赤坂見附方面に向かう。

 

「じゃあさ、昔の銀座線ってさ、次の駅に到着する直前に、電気が消えて、ドアの近くの豆電球みたいなランプだけついてたのも、覚えてる?」

「なんです、それ?」

 

“まもなく、赤坂見附、赤坂見附……” という女性のきれいなアナウンスが流れる。

ゴーと、電車の走る音。