しかしながら、同じ独立するにしても、株式会社を作ってその会社が顧客から仕事を受注し、自分はその会社に雇ってもらうという形にすると、同じ独立でも意味が変わってきます。1人で仕事をしているうちは何も変わりませんが、自分のほかにも社員を雇って、もう少し規模を大きくすれば、「個人の商売」から「事業」に変わっていくのです。

 

お店の場合も同じで、独立して自分一人でお店を切り盛りしているうちは個人の商売ですが、調理法やメニューなどを標準化して、アルバイトだけでもお店を回せるように工夫し、2店舗、3店舗と拡大していけば、それは事業ということになります。

実業家の中には、ゼロからビジネスを立ち上げるには時間がかかるといった理由から、すでに一定規模になった事業をまとめて買い取る人が少なからず存在します。こうした人に、自分の会社を売却すれば、大きなお金が一瞬で転がり込むのです。

2018年3月、NYのブルックリンミュージアムで展示された、自身が所有するバスキア作品の前で。 写真:bfa.com/アフロ

店舗数が数店舗程度の飲食店の場合には、売れても何千万という単位ですが、さらに規模の大きいビジネスになると億の単位で売れることもあります。今回のZOZOのケースは、その最高峰といってよく、前澤氏は自分で会社を設立してその会社を大きくし、ヤフーに2500億円で売却したのです。
会社の社長としての給料はごくわずかでも、その何十倍の金額で会社を売ることができましから、彼の元にはケタ外れのお金が入ってきました。これまで前澤氏が行ってきた100億円単位の支出も、給料を貯金したお金ではなく、自分の会社の株を少しずつ売却した代金が原資となっています。

前澤氏の場合にはあまりにも金額が大きく、少し浮き世離れした話ではありますが、株式会社を作って、それを誰かに売るというのは、実はお金持ちになるための最短距離であり、古今東西を問わない普遍的な法則といってよいでしょう。まとまった資産を作った人の多くが、似たような手法を用いています。

この法則は極めて大事ですから、みなさんよく覚えておいてください。

今はサラリーマンでも、独立することがあるかもしれませんし、すでに独立して仕事をしているという人もいるでしょう。自分しかできない仕事にこだわりを持ち、仕事を個人で完結させるというのもひとつの価値観ですが、自分の仕事をもう少し拡大して、誰でも従事できるよう工夫すれば、人を雇って規模を大きくするという選択肢が出てきます。

拡大した事業を誰かに買ってもらえれば、今までの生活では想像できなかったレベルの金額を一気に手にすることも可能となります。一生のうちに何回も小さなビジネスを立ち上げては売却を繰り返す「連続起業家」と呼ばれる人もいますし、小規模ビジネスの売却を仲介するWebサイトもあります。今後は、こうした形で、賢く富を拡大する人が、ますます増えてくるでしょう。

前回記事「小泉進次郎氏に待ったの声。国会議員の育休はアリかナシか?」はこちら>>

 
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