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失敗した買い物を成功にかえる方法 【岡本仁&岡本敬子夫婦対談】

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編集者としてもの選びに関わる機会も多い岡本仁さんと、ミモレの好評連載でもおなじみの岡本敬子さん。そんな二人が日々買ったものを記録したエッセイ、『今日の買い物』の新装版が、つい先日発売されました。それを機に行われたインタビュー第1弾は、出版にまつわる裏話について。そして第2弾となる今回は、お二人のお買い物エピソードや買ったものとの付き合い方などについて、じっくりとお話を聞かせていただきました。大人ならではのお買い物の流儀がそこかしこに垣間見える夫婦対談をどうぞお楽しみください。

 


とくに買い物スイッチが入るのは
旅先で出会ってしまったとき


―『今日の買い物』には、洋服から雑貨、食器、食べ物、切手に至るまで、あらゆるジャンルのアイテムが登場しますよね。お二人にお買い物スイッチが入るのはどういうときなんでしょうか?

岡本敬子さん(以下、敬):常にオンになっているとは思いますが(笑)、とくにスイッチが入るのは旅に出かけたときですね。旅先では、『この機会を逃したらもう出会えないかもしれない』と思うので、欲しいものを見つけたら買って帰りたいと。

岡本仁さん(以下、仁):目が泳いでいるもんね(笑)。

敬:そうですね(笑)。

仁:でも、言われてみれば確かに僕もそうかもしれない。それも僕の場合、旅先だと荷物を極力重くしないようにしようと決めているので、そういう制約のなかで買い物をするのが余計に面白いんです。だからあるときは、分厚い大きな美術書を買って帰りたいけれど重いからと、背表紙がない4~50ページくらいの中綴じの本ばかり買っていたことがありました。

敬:でも、それを何冊も買うから結局重くなるのよね。

仁:そう。そんなのを何冊も買うんだったら、欲しかった美術書を一冊買っておけば良かったじゃないかという。そういうダメなスイッチが入ることもありますね(笑)。

最近の「今日の買い物」―クックブックのトートバッグ(仁)
 
「LAにある“クックブック”というグリーングローサーで発売されているオリジナルトート。1968年にパリで5月革命が起きたときに学生たちが作った、『君は空腹とどう戦うのか? 僕は帝国主義と戦う』というスローガン入りのポスターをモチーフにしたデザインが秀逸です。このトートが販売される前、お店では同じデザインのポスターが貼られていたのですが、それを見つけたときには思わず『あっ!』と声をあげてしまいそうになるほど嬉しかったことを覚えています。というのも、僕はパリのポンピドゥーセンターで5月革命の展示が行われていた当時、ポスターがたくさん掲載されていたカタログを手に入れていて、このビジュアルにもよく見覚えがあったから。スタッフにもそう伝えると、『その通りだよ。よく分かったね』と喜んでくれたのもいい思い出。最近になってまたお店に足を運んだら、今度はポスターがトートになっていました。というわけで、即買いしたのは言うまでもありません」
 

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『今日の買い物[新装版]』

岡本 仁 岡本 敬子 著


買い物は店へのエールである。今はもう失われてしまった店の記憶や、変わらぬ老舗の味。スタイルのある洋服やアクセサリー、そして古びないプロダクトデザイン。今日もまた、いろいろなものを縦横無尽に買い物する2人の、もの選びのセンスとは? ものを選ぶことが仕事でもある編集者岡本仁+ファッションディレクター岡本敬子の大人気買い物エッセイ、新装版が登場! (解説・平野紗季子)
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