映画『マレフィセント2』のLAプレミアに登場した、主演のアンジェリーナ・ジョリーと子どもたち。 写真:ロイター/アフロ

1/10という確率については、たまたまこの中に多かったということも考えられますが、いずれにしても産みの親であるかどうかはほとんど関係ないこととしてさらりと普通に語られ、こちらも「あ、そうなんですね」といった感じで会話が続いていきます。

 

こうした場面では“多様な家族の形”の定着が感じられますが、その一方で“多様な性”という点で見ると、シンガポールはLGBTの権利はほとんど認められておらず、とりわけ男性間の性行為は違法とされるなど、G(ゲイ)に対して非常に厳しい国というのが現状です。

では日本はどうか。SNSなどを見ていると、無痛分娩や帝王切開にすら「おなかを痛めて産まないと愛情が沸かない」といった言葉を投げかけられるケースがまだあるようで(帝王切開は麻酔が切れたあとなど十分痛いですが)、血縁主義と自己犠牲こそ愛、といった言説にげんなりさせられます。

各国とも、現実にはまだそれぞれに課題を抱えてはいますが、同時に、変化の兆しが見えつつあることも確かです。『マレフィセント』シリーズは種族を超えた結婚や国家統一に挑戦することで、家族、そして社会の多様性を問う内容にもなっており、その点についてはこういった映画が「ファンタジー」でなくなるよう、社会のほうが追いついていけるといいなとも感じました。
 

前回記事「少子化は日本だけではない。アジアの各都市で超低出生率が進む理由」はこちら>>

 
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