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初恋を貫き7年、恋が成就した浩宮さまの喜びと雅子さまの「キャリアより結婚」の決断

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やりがいを感じた外務省に別れを告げて


「長い間、お世話になりました」
2月9日、雅子さんはお別れの挨拶のため、5年9カ月勤めた霞が関の外務省を訪れました。

外務省で退職のご挨拶を。写真/JMPA

1月18日に提出した「辞職願」は、翌19日の皇室会議に先立って受理されました。そのため、1月4日の新年初出勤が、雅子さんにとって最後の出勤となったのです。
外務省を辞めることについて、婚約会見の際に、雅子さんはこう述べられました。

「6年近く勤めた外務省を去ることに、寂しさを感じないと申しましたらうそになると思います。外務省では大変やりがいのある仕事もさせていただいておりましたし、大変学ぶべきところの多い尊敬すべき先輩や同僚にも恵まれて、とても充実した勤務でございました。
でも、昨年(平成4年)の秋、本当にいろいろと考えた結果、いま私の果たすべき役割というのは、殿下からのお申し出をお受けして、皇室という新しい道で自分を役立てることなのではないかと考えましたので、決心したわけです。今、悔いはございません」

 

国際舞台で人の役に立ちたいという気持ちから外交官としてのキャリアを積んで6年、外交官という仕事だからこそわかった天皇家の重みと影響力が、皇太子妃への決断になったのかもしれません。

1カ月ぶりにかつての職場である外務省7階の北米第二課を訪問した雅子さんのまわりには、自然と人の輪ができました。上司や同僚たちに囲まれると、緊張続きだった表情がほころび、いつしか笑みがこぼれるのです。

退職のご挨拶のため、外務省を訪れた雅子さん。写真/JMPA

そのときの雅子さんの脳裏には、足掛け6年に渡る外務省での仕事の思い出が、走馬灯のように駆け巡っていたことでしょう。

配属先の外務省北米第二課課内旅行で熱海へ。写真/宮内庁提供

「うちの省は実力主義で男女の隔てはないところだけど、彼女の仕事はまさに男勝(おとこまさ)り。徹夜もするし、自分の主義主張も通す。特に語学の能力は高かったです。英語の文章では、名文家で通っていました」

同僚の一人は、雅子さんの仕事ぶりをこう評しました。雅子さんは、英語をはじめフランス語やドイツ語も堪能なばかりか、日常会話程度ならロシア語、スペイン語、韓国語などもこなすといいます。

外務省職員としての出張先でハーバード大学時代の友人と再会。写真/宮内庁提供