見る人を幸せにする笑顔、自然体のファッションやライフスタイルが人気のモデル・浜島直子さん。愛称、はまじ。40代になり自分なりのスタイルができあがってきた今だからこそ、“少しだけ”新しいことに挑戦します。

 

はまじ、着物家・伊藤仁美さんを質問ぜめ!


プライベートでは一児のお母さんでもあるはまじ。11月には息子さんの七五三のお祝いを計画中。せっかくの機会なのできものを着ることにしたものの、分からないことだらけ! そこで今回は着物家の伊藤仁美さんをお招きして、大人の女性が知っておくべききもの決まりごとを伺いました。

 

はまじ「初めまして、今日はよろしくお願いします。きものは雑誌『MORE』で『居酒屋はまじ』という連載をしていたとき、毎月のように着せてもらっていました。でもプライベートでは夏に浴衣を着る程度で、ほとんどご縁がありません。今日は仁美さんを質問攻めにさせて頂きます!」

伊藤仁美さん(以下、仁美さん)「こちらこそ、よろしくお願いします」

はまじ「毎日のようにきもので過ごしているんですって!?」

仁美さん「外出するときはほとんどきものです。38歳で実家の京都から東京に出て来たのを機にきもの生活にしました。洋服を着ていた頃はどこか自分に自信が持てなかったのですが、きものだけの日々を送るようになると、ざわざわしていた気持ちが落ち着き始めたんです」

はまじ「全てを着物にシフトするなんて潔いですね! 息子さんがいると伺いましたが、男の子ってじっとしてくれませんよね? 「ママ〜!」って砂場で遊んだ手で抱きついてきますよね? それでもきもので生活できるんですか!?」

夏はほとんどを浴衣で。少し着丈を短くし、あえてスニーカーが見えるようにコーディネート。

仁美さん「はい、もうすぐ2歳になる息子がいます。洗える浴衣や木綿のきもの、汚れても気にならない紬にスニーカーで一緒にお出かけして一緒に遊んでいます。洋服はほとんど持っていませんが、ニューバランスは持っているんです(笑)。

妊娠中もきもので過ごしていたのですが、前で合わせる位置を変えるだけで、臨月まで着ることができました。体型が変わっても着続けられるんです。きものの包容力に感動しました」

臨月の仁美さん。帯が腰を支えてくれたので、実はすごく快適だったそうです。

はまじ「すごい! 今日はいろいろ教えてください!」


お店の意見、自分のこだわり。食い違ったらどちらを選ぶ?
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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はまじ「先日、息子の七五三に着るきものを選びに貸衣装屋さんへ行ったのですが、分からないことばかりで困ってしまいました」

仁美さん「七五三できものを? 素敵ですね!」

はまじ「はい、せっかくの機会だと思って。光沢感のある明るい色のきものを試着したんです。お店の方がおすすめしてくださり、私も旦那さんも「おめでたい席だから」と思ってそのきものに決めようと思ったのですが、「次は帯を決めましょう」と4、5本出して下さったのが、どれも金や銀の華やかな帯ばかりだったんです。え、どっちもキラキラ!? こんなに目立っていいの!?と戸惑っていたら、お店の方が「大丈夫ですよ、皆さんもっとキラキラしていますよ」って。たしかに素敵なんだけど、帯がキラキラしているのなら、きものは光沢のないものの方が自分らしいかなって。プロの方の意見通りではない私の選択はこれで良かったのかな」

仁美さん「フォーマルなきものは気軽に買える値段ではありませんので、貸衣装を上手に使われるのはいいですよね。ご自身で保管しなくても済みますから。

ただきものだからと言って、ご自身の納得のいかないものを選ぶ必要はありません。いくらお店の方が勧めてくださってもご自身が戸惑ったままだと、その動揺はずっと続いてしまいますからね。
はまじさんのように納得したものを選ぶのがよいかと思います。お店の方もきものの知識がありますから、あまりにもフォーマルな場に相応しくなかったら、おっしゃってくださると思うんです」

はまじ「よかったです。きものは着る場所やシーンで変えなくてはならないんですよね? きもの界のルールがわからないので、場違いな格好になったらどうしようとか、知らないうちに失礼なことをしていたらと思うと怖くて結局洋服を選んでしまいます」

仁美さん「皆さんそうおっしゃいます。フォーマルな装いは日本の伝統に敬意を払った着こなしをして欲しいですし、私も守りたいと思っています」

はまじ「やっぱりそうなんですね」


決まり事だらけのフォーマルこそ、きもの初心者におすすめ!?

華やかな訪問着の装いは、来ていく場所、お会いする人に思いを寄せた着こなしで。

仁美さん「ただ、決まり事の多いフォーマルなきものの方が初心者さんにはおすすめだと思っています。何も知らないで自由にどうぞと言われた方が困惑しませんか?」

はまじ「確かに……」

仁美さん「それにきものを着てみようかなと思うのは、オケージョンやお祝い事などフォーマルなシーンが多いですよね。ですから、分からないことはどんどん聞いていいと思うんです。誰だって最初から知っている人はいません。
年齢を重ねると知らないことに対して聞きにくくなるのが事実だとしたら、これからの人生で今が一番若い。 若いうちにひとつひとつ不安を解消して、特別な日を楽しんで欲しいなと思います。それでも人に聞くのは恥ずかしいというなら、まずはお祖母様やお母様など身内の詳しい方に聞いたり、本をお求めになってはいかがでしょう」

はまじ「私も今回、知らないことだらけだったのですが、貸衣装のお店の方や、仁美さんにお話を伺ってとても楽しかったです。七五三できものを着るのも楽しみになってきました」

仁美さん「知らないことに触れることは、この年齢になるとなかなかありません。学ぶことの楽しさを大人になった今だからこそ感じますよね。

はまじさん、七五三ではぜひ素敵な思い出を作ってくださいね。そしてきものっていいなと思えたら、次はご自身のきものを揃えて、着られるようになって欲しいなと思います」

はまじ「きものを着た経験が楽しいものになったら、自分のきものが欲しくなりそうです」


いろいろな場所に着て行ける、汎用性の高いきものがあるって本当ですか?


はまじ「まずは一枚選ぶとしたら、おすすめのきものはありますか?」

仁美さん「いろいろなシチュエーションで着られるきものがいいと思います」

はまじ「そんな便利なきものがあるんですか?」

仁美さん「はい。私が着ている色無地というきものはとても便利なんです。柄が入っていない色だけのきもので、結婚パーティや七五三などのお祝いの席や入学式・卒業式などのオケージョン、お茶のお稽古や歌舞伎の観劇にも着ていけるんです。
きものは合わせる帯によって格を変化させることができるんです。これは着て行く場所を調節できるということ。和装は実に順応性が高いんです。さらに色無地だと、本当にいろいろな場所に着て行けるんですよ。
また、フォーマルなきものには紋(家紋のこと)を入れることもあるのですが、最初から紋のお話しすると、「きものって大変!」と思われてしまいそうなのでまた改めて。ただ紋を入れるか入れないかは、ご自身がどんなシチュエーションで着ることが多いのかをふまえて知識のある方と相談しながら決めるとよいかと思います」

はまじ「色無地、気になります!」

仁美さん「でも今回、はまじさんに着ていただこうと思って用意しているのは色無地ではありません」

はまじ「え、違うんですか?(フィッティングルームを指して)あそこにかけてあるきものですよね? 柄もないから色無地に見えます」

仁美さん「江戸小紋というきものなんです。遠くから見ると無地に見えるのですが、実は柄が入っているんですよ」

はまじ「(近くまで見に行って)わ、本当だ! 柄が入ってる!!」

仁美さん「今回の柄は角通しという、小さな四角が縦、横にきちんと並んでいる柄。“縦にも横にも筋を通す”という意味があるんです。江戸小紋には色々な柄があるのですが、この角通しの他に鮫小紋、行儀という柄は「三役」と呼ばれていて江戸小紋の中でも格が高く、色無地と同じように着ることができるんですよ」

はまじ「柄に意味が込められているというのも素敵」

仁美さん「きものや帯の柄にはメッセージがたくさん詰まっているんです。着ていく場所やお会いする人に想いを込めた装いができるのも素晴らしいなと思います」

はまじ「知れば知るほど、面白いです!」

仁美さん「そうなんですよ。苦手だと最初から諦めるのはもったいないことだと思います」

次回はいよいよきもの姿のはまじが登場です。お楽しみに!

撮影/最上裕美子
ヘア&メイク/赤松絵利(ESPER)
取材・文/笹本絵里
構成/幸山梨奈

 

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