我慢しないで自然に泣いたり笑ったりできますか?

中野裕明司教提供

私たちの心はしばしば抑えつけられて、
笑うことも泣くこともできなくなっています。
そんな中で小さな子どもたちが、
もう一度笑ったり泣いたりすることを
教えてくれるのです

ある子どもは、私が抱きしめようとすると笑ってくれます。私が白い服を着ているので、注射をしに来た医者だと思い、泣きだす子もいます。それは自然なことです。子どもとはそのようなものです。泣いたり笑ったり――。私たちはそれをとても「我慢して」できなくなってしまいます。そして多くの場合、厚紙のような笑顔、生気のない、道化師のような作り笑いになってしまうのです。
子どもたちは自然に笑い、自然に泣きます。……
「私は自然に、生き生きと、愛をもって笑っているのか、それとも作り笑いをしているのか。私はまだ泣けるのか、それとももう泣く力をなくしてしまったのか」
この2つは、小さな子どもたちが教えてくれる、ごくごく人間らしい問いです。

(2015年3月18日、サンピエトロ広場にて)

 

『ローマ法王の言葉』
講談社 価格 1500円(税別)


ローマ法王フランシスコの数々の講話やミサから、キリスト教信者はもとより、一般の人々にもわかりやすく心に残る言葉を集めました。庶民出身の法王の言葉は、日常生活に基づいたもの。「家族」「愛」「ゆるし」「喜び」に加え、未来を担う「子どもと若者」たちへのメッセージがいっぱい詰まったこの本は、きっといつまでも手元におきたくなり、明日への糧となることでしょう。

文/高木香織
構成/片岡千晶(編集部)

 

第1回「来日で話題のローマ法王フランシスコ「家族を大切にしたくなる言葉」」はこちら>>

 
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