ジュニアグランプリシリーズ イタリア大会のリズムダンス「コーラスラインより」の冒頭のポーズ。この20cmの身長差も勝因。脅威のシンクロ率を誇るツイズル!写真:Raniero Corbelletti/アフロ

西山真瑚選手、17歳は、羽生結弦選手も所属するカナダのクリケット・クラブを拠点に練習を積む、そもそもはシングルの選手。
同クラブのコーチからアイスダンス転向をすすめられたのがきっかけで、シングルとの二刀流を決意。パートナーを探し、出会ったのが、すでにアイスダンスで実績を積み、新たなパートナーを探していた吉田唄菜選手、当時15歳だったという。

 

その後、吉田選手もカナダに渡り、今年2月に正式にコンビを結成。1年も満たない9月には、早くもジュニアグランプリシリーズ・アメリカ大会に参戦、いきなり6位に入るという快挙。しかも、キス&クライには、カルガリー五輪アイスダンスの銅メダリストで、コーチとしても著名なトレイシー・ウィルソンがアテンドするという贅沢な光景が見られたのです!

彼らの魅力として真っ先にあがるのが、前世からコンビを組んでいたのは!? と思うような、脅威のシンクロ率を誇るツイズル(ざっくり言うと、アイスダンスの場合は、ふたりが並んで、片足でクルクル回る技)。ピタリと揃っているのはもちろんのこと、スピードとキレがあり、自然に拍手が沸き起こる。

最近では、失敗の気配すら感じられない。それはツイズルに限ったことではなく、エッジが深く、よく滑っていて、結成間もないというのに、観ている側を少しもハラハラ、ドキドキさせないのだから驚く。(あ、リフトなんかで、ちょっとドキッとすることはあるけれど、そこはご愛敬ということで)。

インタビューによれば、ふたりのスケーティングが似ていることも功を奏しているのだという。また、縦に並んだ時に、どちらの表情もよく見える、頭ひとつ分違う絶妙な身長差、そして、英国ロイヤル・バレエ団のプリンシパル、高田茜が親戚なのもさもありなん(実際にアドバイスももらったらしい)という、西山選手の背中や腕の使い方、所作の美しさ! 

心配の種があるとすれば、西山選手が二刀流だということぐらい。シングルとアイスダンスではスケート靴が違うためか、イタリア大会では、転倒してしまう場面も…。でも、そんな時でも“大丈夫! 私がついてるから”とばかりに笑顔で手を差し伸べる、年下の吉田選手のお姉さん感が、なんとも頼もしい。