「お金のプロの方は、お金についてどんなふうに考えているの?どうつきあっているの?」というミモレ編集部の疑問から生まれたインタビュー企画。マネー業界のトップの方々に「お金の価値観」についてじっくり伺っていきます。
今回ご登場いただくのは、フィデリティ退職・投資教育研究所所長の野尻哲史さん。退職後に向けて、お金とどのように向き合ったらよいかを分析・アドバイスしている野尻さんに、マネーコラムニストの西山美紀と編集部の片岡がお話を伺いました。

<今回お話を伺ったのは……>

 

野尻哲史さん
大学卒業後、国内外の証券会社調査部を経て2006年からフィデリティ投信に勤務。2007年より、フィデリティ退職・投資教育研究所所長。各種アンケート調査をもとに投資家動向を分析し、資産運用に関する啓蒙活動を行う。『定年後のお金~寿命までに資産切れにならない方法』(講談社+α新書)『貯蓄ゼロから始める安心投資で安心生活』(明治書院)など著書多数。

 

――40代女性は、仕事や家事、子育てなど、日々の生活で手一杯という人も多くいます。

野尻哲史さん(以下敬称略):私も3人子どもがいまして、イメージはわかります。子どもが独立するまで、お金も多くかかりますしね。

でも、自分たちの老後資金も重要。教育資金ばかりにお金を使っていると、老後のお金がなくなってしまいますから。

少し先の話だと感じるかもしれませんが、40代の方が一度考えたいのが、「自分の親の面倒を金銭的に見ますか?」という話です。

――何かしらのサポートをしたいとは思いつつ、お金や時間はそれほど出せないかも……。

野尻:そういう方はとても多いと思います。親の面倒を「ぜひ見たいです」と口ではいいながら、心のなかでは「ぜも、お金を出すのは無理」と思っている人が大多数ではないでしょうか。

お子さん方も、きっと将来同じように考えるでしょう。つまり、親の老後費用について、子どもは面倒を見ないというわけ。ですから、自分の老後費用を誰かに頼るのではなく、自分自身で準備しなくてはなりません。

今、お子さんに教育費を払うことが大事なのは確かです。でも将来、子どもに老後の迷惑をかけないという意味では教育費をかけるのと同じくらい、老後資金を貯めておくのは子供にとって価値のあること。なので計画的に準備しておくことが大切です。

――今お金を使いすぎてしまったら、将来子どもに泣きつくことになりますものね。

野尻:女性の方が一般的に長生きしますから、男性は「妻にみてもらえばいい」と楽観的に考えている人が多いでしょう。もちろん、夫婦で女性の方が年上であれば話は別ですが、そうでないと、お子さんに頼る可能性が高くなるのは、女性の方。でも「子どもに苦労をかけたくない」と思いますよね。

――はい……子どものためにも、自分の老後資金について早めに考えておかなければ。

野尻:「今の生活費と30年後の老後の生活費、どちらが大事ですか」と言われると、「いや、そんな先の将来にお金を取っておいても……」と否定的に感じると思いますが、「子どもに迷惑をかけたくない」と思えば、準備しておく必然性が生まれるんですよね。

 
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