もしも年上の女性と交際したとして、友人から「なんでおばさんとつきあうの?」と言われたら、「別によくない? 気も合うし、楽しいから一緒にいるんだよ」と言葉を返すとのこと。シンプル…!

 

「年上の女性は人生経験も知識も豊富なので、話しているだけで勉強になります。一緒にいて落ち着くので、頼りたくなります。自分は今、25歳なんですけど、けっこう悩む年頃だと思うんです。子供じゃないので『これからの人生を自分でどうしていったらいいだろうか』と考えるけれど、まだ未熟なところもあるから理想どおりにいかないし。でも、現場で杏さんと一緒にいると、25歳の悩みなんてちっぽけなんだなって。何か特別なエピソードがあるわけではないんですけど、杏さんの醸し出す雰囲気に接することで、『大丈夫。なんとかなるんだよな』という救われた気持ちになる。それは人生経験を重ねた人にしか出せない魅力だと思います」

 

『偽装不倫』の共演者は、杏さんをはじめ、谷原章介さん、眞島秀和さん、MEGUMIさんなど、宮沢さんよりも年上の役者がほとんど。居心地の良い現場で、余計なことを考えず、役に集中できているという。

「同世代とのお芝居は刺激をたくさん受ける一方で、張り合いますし、バチバチ感があるので、ときに自分を大きく見せようと背伸びをして、どうしても疲れてしまうんです。でも、この現場は自分のペースを確立されている大人の方たちばかりなので、いい意味でゆっくりしています。年上の方たちには『ここ、どういう気持ちでやりましょうか』と素直に質問もできますし、とてもやりやすいです。誰一人として接しにくい人がいないので、本当に共演者に恵まれているなと思います」
 

父のライブを見て、人前に立つ仕事をやりたいと決意


宮沢さんが役者に挑戦することを決意したのは、アメリカの大学に進学し、環境学を学び始めた頃。医者や弁護士という夢に向かって努力する同級生を目の当たりにし、「自分は何をしたいのか」を考えた。

「中3か高1の頃、父(元THE BOOMの宮沢和史)のライブを久々に見て、人を感動させて、影響を与える仕事の素晴らしさを感じてから、役者と決めていたわけではないんですけど、なんとなく人前に立つ仕事をやりたいなとは思っていて。芸能界でやっていきたいという気持ちはあったので、思い切って踏み出すことにしました。親元を離れ、1人になって、自分に向き合った2年間はすごく大事な時間でした」

 

履歴書を現在所属する事務所にアメリカからフェデックスで送付。そのまま所属が決まり、国際基督教大学の3年に編入し、21歳で芸能活動をスタートさせた。

「甘い考えだったんですけど、事務所に入ればすぐに仕事がもらえて、忙しくなると思ってたんです。でも、オーディションを受けても30個くらい連続で落ちて、『ヤバい…クビになる…』と焦りました。初めて受かったオーディションが『MEN’S NON-NO』の専属モデルです。そこから少しずつお芝居の仕事が決まるようになりました」

デビューしてからは順風満帆に見えるけれど、その前に短期間とはいえ不遇の時代があったとは。2017年に『コウノドリ』で役者デビューを果たし、舞台はすでに3本に出演。2020年には初主演映画『his』の公開も決定(撮影済み)。注目度の高まりは、本人も肌で感じている様子。

「InstagramのコメントやTwitterの反応、ネット記事などで感じています。あと、いろいろな人から「見てるよ」「すごくいいね」という連絡もいただきます。ついさっきも、(『コウノドリ』で共演した)綾野剛さんから「見てるよー」という連絡が来たところです。毎回チェックしてくれてるんですけど、改めて連絡をくださったのが嬉しいです。メンノンの撮影では、モデルのみんなが番宣も全部見てくれてて。「意外とみんな見てくれてるんだな」って(笑)」

鐘子にとっての年齢のように、宮沢さんを縛るもの、縛られたくないと思っているものを質問すると、「自分が考えすぎだと思うんですけど…」と、あるレッテルについての胸中を明かす。

「デビューがモデルで、今もやらせてもらっているので、僕のことを“モデルをやりながら俳優をやっている人”と思う人もいるんだろうなーと、たまに気にしちゃいます。気にしてもきりがないので、なんなら自分の持ち味にしようと、ポジティブに考えるようにしています。『MEN’S NON-NO』を卒業された谷原章介さんや東出昌大さんが活躍されていますし、最終的には関係ないと思っています。でもたまに気にしちゃうんですけど(苦笑)」
 

時間ができたら訪れたい場所は…?


184cmの長身、光によって色味が変わる茶色の瞳、氷魚という名前の通りの色白美肌、完璧な日英のバイリンガル。丈役にもその武器が生かされているように、彼のポテンシャルはワールドクラス。本人も将来的には海外でも活動したいと意欲を見せる。

 

「最近はありがたいことに忙しくさせていただいて、自分から動くことはできていないんですけど、今はいただいたいろいろなお仕事でそのとき自分が持っているすべての力を出し切って、スキルを高める時期だと思っています」

大学の卒業論文のテーマにしたほど川が好きだという宮沢さん。最近は川を眺める時間もないほど忙しいが、『MEN’S NON-NO』のロケで日本橋を訪れて、久々に「水だ…!」と気持ちが緩んだという。

「やっぱり水辺はいいですね。時間ができたら母校の裏にある野川に行きたいです。僕が在学中に整備工事が始まって、完成してから行ってないので、久しぶりに行って、どんなふうに変わったのかを見てみたいです」
 

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<ドラマ紹介>
水曜ドラマ「偽装不倫」
日本テレビ系水曜よる10時放送

本当は“未婚”なのに何で???思わずついてしまった“既婚”という嘘から生まれた恋。東村アキコ原作、ちょっとこじれた大人のピュア(?)ラブストーリー。

脚本:衛藤凛
演出:鈴木勇馬、南雲聖一
出演:杏、宮沢氷魚、瀬戸利樹、MEGUMI、田中道子、夏子、眞島秀和、伊沢弘、朝加真由美、谷原章介、仲間由紀恵
原作:東村アキコ『偽装不倫』

取材・文/須永貴子
撮影/水野昭子
構成/片岡千晶(編集部)、榎本明日香
(この記事は2019年8月6日に掲載されたものです)
 
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