また男女では怒りの処理の仕方が違う、という面もあります。女性は人に話すことで発散しますが、男性は一人で考えて整理する傾向があります。「男は1日の終わりに暖炉の火を見つめながら過ごす時間が必要」なんて言葉もありますが、それは一人引きこもって考えを整理する時間が必要、という意味。こういうタイプの男性は、「気に入らないことがあるなら言って」という要求にこたえて説明したとしても、女性からすると言っている意味が分からなかったりします。また、上手く伝えられないあまり怒り出して暴力に発展する危険性もあります。だから黙って無視する。それがみなちんさんの夫の怒りの表現法ですので、黙って放っておいてあげるのがベストでしょう。

 

仮に話し合いをしたとしても、男女では“話し合い”に求めるものが違っているのはご存知でしょうか? 女性の“話し合い”は、お互いの気持ちや意見をぶつけ合うことですが、男性の“話し合い”は会議形式で議論し、解決に導くことです。つまり、感情V.S.論理なのですね。怒っているときは論理的に話せませんし、女性に一言うと百返ってくることも分かっていますから、男性は貝になるしかないという心理もあるのです。

 

まずは、そういった違いを理解する必要があるかと思います。みなちんさんが今、夫に求めていることは、「できないことをやりなさい」と言っているのと同じなのです。

ただ、無視されることを辛く思っていることは伝えても良いかと思います。その際は、「私が嫌なの」と主語を明確にして伝えるようにしてください。女性は「普通は……」と世論を味方につけようとしたり、「あなたっていつも……」などと相手に非がある言い方をしがちなのですが、それは相手の人格を否定する行為でもあります。夫の怒りに火を注ぐ可能性があるのでやめたほうがいいでしょう。

しかし“私”と“あなた”の問題であると、きちんと線引きができていれば、安全なコミュニケーションが取れます。国家間紛争と同じで、多くの人は境界線を越えて相手の領域に進出してしまうから戦いになってしまうのです。でも国境を守って気持ちを伝えれば大丈夫。すぐに変化はなくとも、みなちんさんの「嫌なんだ」という言葉は夫の心の片隅に残るので、少し歯止めがかかるようになるかもしれません。

また、コミュニケーションが苦手な男性は、自分の気持ちを話すまでに信じられないくらい長い時間を要します。私も、男性のクライアントさんに質問を投げかけてから10分、15分と沈黙が続いたことは珍しくないのですね。話をしようと思っても、すぐに言葉にならず、自分の中で文章を組み立てては破棄し、組み立てては直し、を繰り返しているものなのです。女性は比較的思ったことを言葉にすることに長けていますので、そうした男性のコミュニケーションは信じられないかもしれませんが、もし、彼の本音を聞きたいと思われるのならば、彼が話をしてくれるまで10分でも20分でも待つ、という姿勢も必要かもしれません。その間、イライラせずにただ「待つ」ということが必要になるのですが……。

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 取材・文/山本奈緒子

 

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