20年間で4万人以上の女性たちのヘアチェンジに立ち会ってきた、ヘアライター&エディターの〝さとゆみ〟こと佐藤友美さん。髪型が女性の見た目だけでなく、人生までをも変えてしまう現場を目撃してきた佐藤さんが書いた本、『女は、髪と、生きていく』では、自分史上最高に似合う髪型のみつけ方を中心に、女性にとっての髪型の重要性を説いています。今回はその素敵な著書の中から、大人世代の女性におすすめなショートヘアの魅力についてご紹介します。

 

髪型によって「髪が持つ性格」があると、さとゆみさんは言います。「その性格=キャラを味方につけることで、髪はあなたの武器になる」、と。では、大人世代にも人気のショートには、どんなキャラがあるのでしょう?


ショートに漂う「あえて髪型を選んでいる」感


髪が短い女性には、活発な印象があります。これは、ショートヘアが女性の解放運動と深い関係があったことと無縁ではありません。

ひと昔前は、「ショートにすること=自由に自分を表現すること」や「男性と肩を並べて活躍すること」の象徴だったのです。

少なくとも昭和の時代までは、女性のヘアといえば、デフォルト(初期設定)がロングで、ショートは「あえて選ぶもの」でした。

時代が変わり、女性のショートヘアがことさら特別なものでなくなった今でも、やはりロングに比べるとショートは、「自分の意思で髪型を選んでいる感」があると思います。

ヘアカタログも、「ショート&ボブ」は売れますが、「ミディアム&ロング」は(そちらのほうが、人口が多いにもかかわらず)売れません。これは、短い髪を選ぶ人のほうが、「髪型」を意識してオーダーしようとしている裏返しだと思います。

 


ショートにするとキャラまで変わる?


・ショートヘアにしたら、突然、内定が決まった。
・ショートヘアにしたら、突然、役職に抜擢された。

という話は、よく聞きます。ショートヘアはそれだけ目立ちます。

ショートは、目に留まるし、記憶に残ります。そして、与える髪の毛のキャラクターの印象は「活動的」だったり「明るい」だったり、「人とはちょっと違う」だったりします。

それだけではなく、ショートにすると、痩せる人と、メイクが上手くなる人が多い。そして、リアルに明るくなる人が多いです。ショートにしたことがある人ならわかると思うのですが、この髪型は、物理的に顔が隠せなくなり、髪が顔を全部覆ってくれる安心感がなくなるので、自分の顔への責任感が増します。

たるみが気になるから引き締めようとか、顔が全面的に出るからメイクをはっきりしてみようとか、そういう気持ちが働きやすくなります。また、ショートの持つ髪キャラのおかげで、「元気で明るい人なんだろうな」というテンションで話しかけられることが増えるので、リアルに元気になったり、明るくなったりするという現象が起きるのです。


40代後半からは、エイジングの問題により、ロングヘアよりショートヘアを選ぶ人が急増。そんな中で改めて「あえてショートを選んでいる」という、強い気持ちを持つことが大事だとか。


大人のショートは強い気持ちで選ぶ


ある女性がこんなことを言っていました。
「女は美容院で2度絶望するんです。一度は美容師さんに『そろそろ白髪染めを使いましょうか』と言われたとき。もう一度は美容師さんに『そろそろショートにしましょうか』と言われたとき」、と。

たしかに、髪が細くなりペタンコになったら、ショートがおすすめです。ロングと違って、髪の重さで下に引っ張られないので、トップにふんわりボリュームが出しやすいのです。白髪が増えるとカラーリングを続けるのも大変です。

だから美容師さんも、毎日のお手入れを考えてそう言ってくれるのかもしれません。そのさりげない気遣いに、逆に傷ついてしまう女心もわかります。

でも、と言わせてください。黒木瞳さんや石田ゆり子さんなどの例を挙げるまでもなく、大人女性のショートヘアは、もともと素敵なものです。だから、大人のショートほど「私は自分の意思で、このショートを選んでいるのです」という気持ちを強く持ってください。


大人女性にショートヘアが◎な理由


私は、大人の女性にはショートヘアをおすすめします。なぜなら、ショートは、100人に100パターンの似合わせ方法があるからです。

ショートヘアはすべての髪の毛のデザインが基本的に顔の近くで完結します。ということは、10万本すべての毛が、似合わせに貢献できるということです。

前髪、顔まわり、レイヤーの入れ方、後頭部の高さの出し方、カットライン、重心の置き方、などなど、その人にどう似合わせるかのテクニックが、山ほどあります。

実はショートほど、誰にでも似合う髪型はありません。ショートに似合わせ方のバリエーションが桁違いにたくさんあるのです。

さらに、ショートはいろんなキャラが演出できます。ショート自体には、活発、元気、明るいなどの性格があるといいましたが、その前提の上で、前髪の長さやシルエット、前下がりか前上がりか……など、あらゆるポイントで、細かく印象を選ぶことができます。色気を出すことも、落ち着いた雰囲気を出すことだってできます。長い髪に比べて、差別化できるポイントが多いのです。

言ってみればショートヘアとは、つるしの服ではなく、オーダーメイドのワンピースを手に入れるようなものです。

大人の女性には、その人が歩いてきた歴史があります。どんな自分を表現し、どんな自分として生きていきたいか、誰もが一家言あるでしょう。そんな人ほど、バリエーション豊富な、オンリーワンのショートヘアを手に入れてほしいのです。


次回は、ヘアライター佐藤友美さんの著書によって「髪型への意識が変わった!」と語るライターさかいもゆるさんの対談をお届けします。髪と自己肯定感についてさらに掘り下げ、納得の髪型に出逢える美容室活用の極意についてさとゆみさんからたっぷりお話しいただきます!

 

<書籍紹介>
『女は、髪と、生きていく』

佐藤友美 著 幻冬舎

「髪には「性格」があります。
あなたがどんな自分になりたいかを考えて、それを髪で表現することができたら、人生は変わります。」

日本で唯一無二であるヘアライターの著者が、髪について語り尽くした最新作!

前髪ひとつで人格が変わる
女は分け目から老ける
前上がるか、前下がるか、それが問題だ
女の知性は後頭部に宿る
美容院で「おまかせ」と言ってはいけない
美容師選びはダンナ選びより重要
髪キャラと本キャラを一致させる、など。

文/佐藤友美
構成/さかいもゆる
(この記事は2020年1月15日に掲載されたものです)

第1回「「今の髪型、似合ってるのに気に入らない」、そのワケ。」はこちら>>
第3回:「40歳以上は髪で美人の下克上が起きる」はこちら>>
第4回:「美容師に髪型をお任せにしてはいけない理由」はこちら>>

第5回:「美容室で何を伝えればいいか」2月5日公開予定