現役歯科医師で目黒クリニック院長の今枝誠二さんは、「日本人は世界で一番口臭がひどい」と語ります。その原因とされるのが、国民的に蔓延している「歯周病」。そもそも、「予防」より「治療」をした方が儲かるという欠陥的構造を持った日本の健康保険制度ゆえ、歯の健康を第一に考えてくれる医者が少ないと、著書『現役歯科医が警鐘 こんな歯医者に行ってはいけない』の中で指摘します。
そこで今回は、日本人の口臭の原因とともに、その解決の糸口を本書の中からご紹介します。

 

多くの外国人が「日本人は口が臭い」と感じている


日本人は「清潔できれい好き」だというイメージがあるかもしれません。日本は衛生的な国であるともよく言われます。しかし、多くの外国人が「日本人は口が臭い」と感じているという衝撃的な事実があります。
ある調査(オーラルプロテクトコンソーシアム調べ)によると、在日外国人の72%が「日本人の口臭にがっかりした経験がある」と解答しているのです。外国人の印象だけでなく、日本人同士でも72%のビジネスパーソンが、「他人の口臭が気になったことがある」と回答しています(2017年パナソニック株式会社調べ)。同調査では、29%が「他人に自分の口臭を指摘されたことがある」と証言しました。
どうやら、日本は「口臭大国」なのかもしれません。それはなぜなのか? 原因はズバリ「歯周病」です。日本の成人のうち、ほぼ8割の人が歯周病であると考えられています。つまり、歯周病によって口腔内の環境が悪化していることが、日本人の口臭の源になっていると言えるでしょう。
 

 

ボディタッチのない文化が口腔内ケアを後退させた


先進国でありながら、日本人の口腔内ケアに関する意識は非常に遅れていると言わざるを得ません。アメリカでは、子どもの頃からしっかり口腔ケアを教育されます。歯ブラシだけでなくフロスなどを使った歯間ケアなどを行うことが当たり前となっています。アメリカは日本のように国民皆保険制度ではないこともあり、健康管理に対する意識が全般的に高いことが特徴です。歯の治療のためには、医療保険以外のデンタル保険に加入する必要があります。虫歯や歯周病になってしまうと、思わぬ高額出費になることも多いのです。当然、日常の口腔内ケアに力を注ぐことになります。
さらに、日本人は欧米人と異なりボディタッチの文化がないことも、口臭に関する意識が低くなってしまった一因でしょう。

 
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