デンタルフロスやワンタフトブラシで長寿に


口腔ケアのポイントは、いわゆる「プラークコントロール」が重要です。プラークは、口腔内の細菌が糖を餌として繁殖した細菌の塊で、プラーク1gの中には1000億個もの細菌が含まれていると言われます。そのままにしていると、プラーク中の細菌から酸や毒素が排出され、虫歯や歯周病の原因となるのです。プラークコントロールとは、プラークの量を減らし、増やさないようにして、これを文字通り制御することです。
そのためには、まずデンタルフロスなどのアイテムを上手に使うことが近道となります。デンタルフロスには様々なタイプがあり、自分に適したものを選ぶことが大切です。初心者は操作がしやすいホルダータイプをおすすめします。糸を切る作業が不要なので習慣化されやすいのが利点です。ホルダータイプは一般的なF型と、奥歯に適したY型に分かれますが、使いやすいタイプを選べばいいでしょう。

 


デンタルフロスと歯間ブラシは役割が違う

 


デンタルフロスと歯間ブラシの違いを質問されることが多いのですが、歯間ブラシとデンタルフロスでは役割が違います。デンタルフロスは、「歯の間」の汚れを取るのが得意で、虫歯予防に適しています。一方、歯間ブラシは、「歯と歯肉の間」の汚れを除去しやすく、歯周病予防に使うのがおすすめです。
ただし、歯並びにはそれぞれ個人差がありますし、例えば歯と歯肉の間が広い人などは、デンタルフロスで歯垢を取るのが難しいので、歯間ブラシを使ったほうが効果的です。歯科検診などを受けた際に、担当医に相談してから使うのがベストです。私のクリニックでは、歯間ブラシの選び方や使い方のアドバイスも行っていますが、歯医者に「私の歯の場合は、歯間ブラシとデンタルフロスのどちらがいいでしょうか?」と、質問してみましょう。もし、適切なアドバイスをもらえないようなら、その歯医者は失格です。
また、通常の3列の歯ブラシではなく、特殊な三角毛の「ワンタフトブラシ」を併用して、磨き残しの多い場所をピンポイントできれいにする方法もおすすめです。予防歯科の先進国であるスウェーデンではワンタフトブラシがメインのデンタルアイテムとなっており、その効果は証明済みです。
 

 

『現役歯科医が警鐘 こんな歯医者に行ってはいけない』
著者:今枝誠二(講談社/税込1100円)


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構成/小泉なつみ

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