それが決まったらもうこっちのもの。私の土色の顔に赤みがさし、心もみるみるウキウキと元気が戻ってきました。とにかくこの(残念な)ホテルは朝早くチェックアウトしよう。ここは永遠の都、ローマ。高いお金を出せばそれなりのホテルには泊まれるでしょうが、さらに飛行機代がかさんだ今、そんなにお金をかけたくはありません。今から、吟味している時間はないし……。

そうだ! スターホテルズ! トリエステで泊まったホテルがあんなに良かったのだから、きっとローマの同系列のホテルも悪くないはず。スターホテルズは1980年にフィレンツェで創業されたイタリア資本のホテルチェーン。イタリアにこだわっていて、30のホテルを経営するようになった今も、ホテルを始めたときの価値観を大切にしているとホームページに書かれています。

探すと、ありました、ありました。ローマにも3つのスターホテルズのチェーンが。一つはトリエステのホテルと同じグレードの『ディンギリテッラ・ローマ』。こちらのホテルはネットで見て楽しむだけにして、今回は、あとの2つの、もう少しカジュアルなグレードのものから選ぶことにしました。バチカンのすぐそばで立地最高の『ミケランジェロ・ローマ』にしたかったのですがそこは満室。でももう一つの、日本からのツアーにもよく使われるテルミニ駅すぐ近くの『メトロポール・ローマ』がとれました。4つ星なのに価格も良心的なうえ、トリエステですでにスターホテルズの会員になっていたので、素敵なコネクティングルームに2割引きで泊まれました。さらにアーリーチェックインもさせてくれて、疲れを見せ始めた母は夕飯までベッドに横になっていることができました。

スターホテルズ、『メトロポール・ローマ』の部屋のソファスペース。なんてかわいいソファなんでしょう。お部屋に入った途端に、疲れが引くのを感じました!

妹と私は、早速ローマ観光に出かけました。現金なもので、昨晩までのごたごたはすっかり忘れ、「おまけ」が当たった子供のようなワクワク感でローマの街を目いっぱい楽しみました。バチカンのサン・ピエトロ大聖堂の見事さに驚嘆し、サンタンジェロ城からの見晴らしに涙し、本場のジェラートに心躍らせ、夜には休んでいた母もすっかり元気になり、ホテルの通りを挟んですぐのレストランでお得意の「カンパーイ」をしました。

ホテルの前のリストランテにてカンパーイの母と妹。疲れと安堵とウキウキが見えますよね……。

次の日からは、23時間をかけて東京へ。さすがに疲れましたが、母いわく、一気に12~14時間長く乗っているより8時間とか7時間とか細切れに乗る方が、気分転換になるし、体もそんなに疲れない、とのこと。ならば次回は、そういうことを加味した旅にしましょうか。

 


さて、今回足を踏み入れた国は、イタリア、スロヴェニア、クロアチア、フランス、ベトナムとなんと5か国。忘れられない旅になりましたが、結局はハッピーエンドでよかった。行ったことのない、ハノイの地にも寄れましたし。
では皆さん、旅のみならず、トラブルまでお付き合いいただきましてありがとうございました! またお会いしましょう!
 

 

『母とヨーロッパへ行く 母+娘=100歳~の旅』

太田篤子 著 講談社刊 144ページ 1400円(税別)

持って行ってよかったおすすめの持ちもの、ホテルの検索の方法、ホテルへ直接予約するときのメール例なども載っています。楽しく安全な母娘旅のためにお役立てくださいませ。

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