年下の彼に告白したのに完全スルー!


前置きが長くなりましたが、そんなゆかりさんが現在の夫と出会うきっかけになったのは、「ダーツ・バー」。

ゆかりさん:普通の出会いって学校とか会社とか、だいたい肩書きから入るでしょ? だけどダーツってそういうのが一切ないの。その場で一緒にダーツを楽しむ、それだけのことで名前も知らない人たちと仲良くなれてしまう。今まで顔や肩書きで恋人を選んできた私には、それがとっても新鮮だった。

当時、ゆかりさんは34歳。19歳から32歳までずるずると付き合い「私のいちばん綺麗でいい時代をすべて捧げてしまった」スーパーモラハラ&DVの彼、Aさんと別れたあとで、恋愛に対して燃え尽き症候群のようになっていました。

そんなある日、職場の男性がデートのつもりでゆかりさんを行きつけのダーツ・バーに連れて行ってくれて、そこで出会ったのが6歳年下のひろゆきさん。それまでなら自分の弟と同い年の男性なんて昔は恋愛対象にもならなかったし、彼は今まで付き合って来た男性たちとは真逆の、無口で真面目なタイプ。

ゆかりさん:彼はみんなでわいわいダーツする仲間のひとりで、最初は名前も知らなかった。だけど家が私と同じ方向だからたまに帰り道に送ってくれるときがあって、あるときに急に、「この人のこと、好きかも」って思ったんだよね。今まで恋愛で計算ばっかりしてた私が、直感だけで人を好きになったのは初めてのことだったの。

実は真面目な男性との出会いの場としておすすめなダーツ・バー。その理由は次回でじっくり!

「過去に荒んだ恋愛しかしてこなかった」ゆかりさんは、生まれて初めて純粋に男性を好きだと思えたことが嬉しくて、彼が送ってくれた帰り道で思わず「好き」とストレートに告白! きゃ〜〜! 大人になってからのそんなド直球な告白、聞いているこちらがドキドキしてしまうではないですかっ。

 

ゆかりさん:勝算も何も考えてなくて、ただ、急に小学生みたいに「好き」って発表したくなったからしました、っていう感じだったの。まあ、よく考えたら、ないよね(笑)。私の方がすごい年上だし。

さかい:それで、彼はなんて!?

ゆかりさん:無言でスルーされて、それで終わり。数週間放置のあとに電話で「今は司法試験の勉強でそれどころじゃないから」ってフラれた。辛いよね……。だけどそれで急に私がダーツ・バーに行かなくなったりすると彼に気を使わせるから、そのあとも今までと変わらずに通って、彼にもおばちゃん的なノリで明るく話しかけたりしてたの。

ゆかりさんになびかない男性が、この世にいたことに驚愕する私……。

さかい:そんな風にフラれて、一体どうやって結婚するまでの仲になれたの?

ゆかりさん:それが、よくわからないんだよねえ。帰りにうちまで送ってくれる回数が増えて、いつの間にかうちに上がるようになって、気づいたらそういうことになって、彼からは何も言葉はないまま、一緒に住んでる状態になってて。本当に無口な人だから、浮いたセリフを言われたことなんて一度もないし、プロポーズもなかった。38になったとき、向こうの家族旅行に誘ってくれたんだけど、向こうのお母さんに「あなたたち結婚はどうするの?」って聞かれて。彼が「司法試験があるから」って言ったら、「もう結婚しちゃいなさい!」って仕切ってくれて、それで結婚が決まったのよ。

無事に好きな男性と結婚できたゆかりさんですが、実は幼い頃から結婚願望はゼロ。

超・過保護で過干渉な母親からの「良家に嫁いで子供を産むのが女の幸せ」という価値観を押し付けられて育って来た彼女は、そこから逃れるために必死にもがき、だからこそ「ビッチ(ゆかりさん談)」になり様々な男性と関係を持って来たのです。

「ありのままの自分を親に認めてもらえない」ことからくる、自己肯定感の低さ。それが彼女が長年モラハラ&DV彼氏に暴力を振るわれても別れられず、男性を肩書きでしか見られないようにさせていた原因でした。

彼女がそんな〝呪縛〟から解かれ、「生まれて初めて心の健やかさを感じることができた」という今の旦那様との穏やかな日々を手に入れるまでの過酷なストーリーを、次回では引き続きお話したいと思います。
 

イラスト/いとうひでみ
構成/川端里恵(編集部)
 
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