コロナショックによる経済危機。連日株価が大きく下がるニュースを目にして「これからどうなる?」「投資は今後どうしたらいい?」と不安な方も多いでしょう。
そこで今回ミモレは専門家に緊急取材。経済評論家の山崎元さんのもとを訪れました。マネーコラムニストの西山美紀と編集部の片岡がお話をじっくり伺います。
 

<今回お話を伺ったのは……>

 

山崎元さん
経済評論家。専門は資産運用。楽天証券経済研究所客員研究員。マイベンチマーク代表取締役。1958年北海道生まれ。東京大学経済学部卒業後、三菱商事、野村投信、メリルリンチ証券など12回の転職を経て、現職。雑誌連載、テレビ出演等で活躍中。著書に『マンガでわかるシンプルで正しいお金の増やし方』(講談社)、『お金で損しないシンプルな真実』(朝日新聞出版)等多数。

 


リーマンショックと比較される経済、何が起こっている?


――新型コロナウイルス感染症の問題が世界中に広がっています。株価も下がり、「今後どうなるのだろう」という大きな不安が……。経済的にはどういう状況でしょうか。

山崎元さん(以下敬称略):刻々と状況が変わっていますが、もともと世界経済は少しバブルの要素がありました。

アメリカでは、社債を発行して調達したお金で自社株を買い、株価がどんどん上がっている事情もありました。そこに新型コロナウイルスの問題が起こり、当初は中国だけだと思われていたところ、ヨーロッパやアメリカなど世界中に広がっていき、パニック的な売りが出ている状態だと思います。

さらに原油の価格が急激に下がっています。「日本は輸入が多いから原油価格が下がることはよい」という人もいますが、これだけ急に下がると、アメリカのシェールオイル採掘業者の採算割れとなり、会社が倒産したり、借金が返せなくなったりということが起こりえます。加えて、産油の需要に頼っている国は、経済危機となる可能性があります。

アメリカで、財務的に強くない会社に融資していた銀行や、社債を持っていた人などが金融的損害を受けるようになると、さらに大きな影響になるでしょう。

 

――10年ほど前にはリーマンショックがありました。株を持っていない人はあまり影響を感じなかったと思いますが、今回は実際の生活にも影響を感じ、比べものにならないほど大きな打撃になりそうです。

山崎:はい、リーマンショックでは金融機関の問題でしたが、今回は企業の問題にも波及しています。SARSや新型インフルエンザのときは経済が一時的に縮小しましたが、比較的早期に回復することができた。コロナ問題は、もっと規模が大きいと思います。今回は企業にお金がまわらなくなり、金融機関がパンクするという具合に問題が連鎖するでしょう。

ただ、新型コロナウイルス自体は、報道によると、感染力は高いけれど、致死率はそれほど高くないとのこと。これまでのさまざまな感染症を乗り越えてきた歴史からすると、いずれは、この感染症と社会経済が共存する状態となっていくと思われます。

 
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