確かにエコバッグに自身で品物を入れたとしても、お札を指でなめて数えて店員さんに渡したり、店員さんと近い距離で大声でしゃべってしまえば、まったくの無意味になってしまいます。ひとつのキーワードにはこだわらず、問題の本質は何なのか自身に問いかけてみることが重要です。

このコラムでも以前、指摘したことがありますが、実は紙幣というのは、身の回りにある品物の中ではもっとも汚い部類に入ると言われており、表面に付着している菌やウイルスは便器並みとの指摘もあります。滑って取りにくいという理由から、指を舐めてお札を数える人が意外と多く、これが感染拡大の温床となる可能性も指摘されています。

 

米国は昔からクレジットカードが普及していますが、一方で、電子マネーやクレカを保有できない人を保護するため、現金の受け取りについても拒否できないルールを定める自治体も多く、サンフランスコにも同様の規制があります。ただ、今回の事態に際しては、可能な限り非接触型の電子決済が推奨されており、やむを得ない場合には頻繁な消毒を行うことを求めています。

 

サンフランシスコ市ではエコバック禁止だけでなく、店舗やオフィスにおいて他人との距離を最低でも1.8メートル以上確保すること、消毒液などはすべての従業員が利用できる状態にしておくこと、施設内に一定以上の顧客が入らないように店員が管理すること、売り切れになりそうな商品については購入制限をかけることなど、かなり細かく市民に対して指示しており、事業者はチェックリストを見える場所に掲示しなければなりません。

日本の政府や自治体が諸外国のような具体的な指示を行うことはあまり期待できませんから、私たちは自主的に対策を考えるしか方法がありません。総合的に判断すると、とりあえず持参のバッグはやめてスーパーが提供する袋を使い、可能な限り電子決済にした方が安全だと思われます。

今回の感染拡大は長期化するとの予想が大半であり、しかも、近い将来、再び同じような感染爆発が発生するとの指摘も少なくありません。

もし、今後も感染症と共存しなければならないのだとすると、エコバッグや現金決済と同様、従来の常識を変えなければならない局面も増えてくると思われます。良好なメンタルを維持するためにも、気持ちを切り換え、柔軟に対応していく姿勢が重要でしょう。 
 

前回記事「「和牛商品券」がダメな本当の理由。現金給付も“スピード支援”が鍵に」はこちら>>

 
  • 1
  • 2