多くの企業から毎日のように、新型コロナウイルス感染者が出たと発表されるようになりました。自分の会社で、感染者が出たらどうしたらいいのでしょうか。それが同じフロア、同じ部署の人だったら…。
実際に、新型コロナウイルス感染症患者に接している医師から、接触者への対応、オフィスを消毒する方法、そして、日々の感染予防策を聞きました。
過去の記事と合わせてご覧いただき、新型コロナウイルス対策にお役立てください。

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どこまで消毒する? どこから濃厚接触?


新型コロナウイルスの感染拡大が続き、ウイルスの存在がより身近に感じられるようになってきた方も多いかもしれません。中には、昨日まで同じオフィスで働いていた人に感染が判明した、などといったケースを経験されている方もいらっしゃるかもしれません。

そこで、本記事では、会社で実際に感染者が出たら、感染者へ接触した人はどうするか、どのようにオフィスを消毒すれば良いかについてまとめさせて頂こうと思います。様々な対策をご紹介しますが、全てを無理にやる必要はなく、できることをできる範囲で行ってください。

ここでは仮に、昨日までオフィスに出勤していた方が、具合が悪そうにしていて、翌日発熱で欠勤となったという状況を想定したいと思います。

まだ、この方がコロナウイルス感染と決まったわけではなく、実際には違うかもしれません。しかし、感染拡大が進んだ地域では、他の診断が下るまでは、新型コロナウイルス感染症として対応するのが無難だと思います。
 

接触者への対応


感染者が出たら、まず問題になるのは接触者です。ここで言う「接触者」とは、感染者と2m以内で接した全ての方です。なお、症状が出る48時間前まで感染を広げている可能性がありますから、そこまで遡って接触者を割り出す必要があります。これらの対応は保健所に相談することができるでしょう。

このうち、マスク装着の有無にかかわらず、会話を交わすなど濃厚に接触した方は自宅での健康観察の対象となります。可能な限り、2週間を自宅で過ごしてください。様子観察が妥当となります。

それ以外の方も接触感染などの可能性は生じます。安全を取るなら自宅待機となりますが、出勤がやむをえない場合には、症状がないか日々観察を行う、接触から14日間はオフィス内でも常にマスクを装着する、他の同僚と2m以上の距離を保つなどの方法をとることでリスクを低減することができます。
 

オフィスを消毒する最適なタイミング


感染者が出たオフィスは、ウイルスによる汚染の可能性が高いため、消毒が必要になります。
オフィスはできるだけ時間を空けてから消毒作業を行った方が安全です。

例えば、翌日の欠勤の連絡が夕方に来た場合、その晩に急いで消毒作業を開始するのではなく、翌朝に行う方が安全です。

同様に、もしそれが金曜日の夜であった場合、土曜日に行うのではなく、月曜日の早朝、出勤前に行う方が安全ということになります。なぜなら、物に付着したウイルスは時間とともに減衰することが分かっているからです。

これはあくまで実験室でのデータであることに注意が必要ですが、今回の新型コロナウイルス は、硬貨(銅)で4時間、段ボールで24時間、ステンレスで48時間、プラスチックでは72時間の存続が確認されています。また、時間経過で追ってみると、ウイルス量は時間とともに減っていくことが確認されています。

そもそも、ウイルスは生物の細胞の中でしか増幅できませんので、細菌やカビのように、環境中で次々と増殖していくということはありません。

この「時間とともに減っていく」という事実を知っておくことが大切で、「時間」をうまく活用することが感染対策となります。

例えば、丸1週間オフィスを閉めておくことができるのであれば、1週間空ければ追加の消毒なくオフィスは使用可能です。そのような対応が実現可能な状況なら、消毒という意味では信頼ができる方法になります。

それが難しければ、理想的には丸一日はオフィスを閉鎖にしてその翌日に清掃します。それも難しければ、できるだけ時間を空けます。

なお、ウィルスは乾燥に弱いため、常日頃からオフィスの換気をはかっておくことも重要です。窓は少し空けておくような習慣をつけておいた方が良いでしょう。