COVID-19の一般的な症状

 

まず、そもそものスタートとして、これは皆さんがすでにご存知のことかと思いますが、全く無症状の感染者がいらっしゃるということは抑えておきたいところです。言い換えれば、感染していても、そもそも「症状がない」ということがありうるわけです。このことから、症状がなければ大丈夫、症状がなければ人にうつすことはない、とは言えないことがわかります。

 

症状がある方の中では、発熱、咳、だるさ、筋肉痛、悪寒、頭痛などが代表的な症状であることが報告されています。特に、発熱と咳が最多で、発熱が4〜8割、咳が6〜7割と報告されています(参考1、2)。

インフルエンザにかかったことがある方は分かるかと思いますが、インフルエンザとそっくりですね。医師の私でもそう思います。今はインフルエンザの流行がなくなったのでインフルエンザと勘違いすることはありませんが、同時に流行していたら全く区別がつかなかったと思います。

2割ほどの方は38度にも満たない微熱や喉の痛みなどの風邪症状にとどまるとも言われていて、こうなるともはや他のウイルス感染症と全く区別がつきません。このようなことから、「私の症状は風邪であって、新型コロナウイルスではない」と自己診断はできないことがわかります。

その上で、典型的には、このような経過を辿ることが知られています。


新型コロナウイルス感染症の典型的な経過

重症化する方でも、初めの数日はかぜ症状にとどまることが分かります。「自分は軽症だ」と思っても油断ができない病気です。

この他に、中国からの報告では、4.5%(参考1)、米国からの報告ではなんと20%程度(参考3)までの方に、下痢や吐き気といった消化器症状が出たことが報告されています。これは、いわゆる「胃腸炎」と見分けがつかない症状です。つまり、「私の症状は胃腸炎だから、新型コロナウイルスではない」とも言えないことが分かります。しかし、一般的な胃腸炎の流行もありますから、「下痢があるからコロナウイルスに違いない」と言うこともできません。

また、皮膚の発疹が出た、手足が動かなくなったというような症状の報告もあり、症状が本当に多岐にわたることが分かります。

なお、これらの症状をもとに、どのような時に医療機関に問い合わせれば良いかは過去の記事で扱わせていただきました。


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