お家時間が増えたことで、自炊している方は多いのではないでしょうか。筆者もその一人ですが、一言で我が家の食卓状況を表すなら、「マンネリ」です。
突如1日3食の食事作りがデフォルトになったショックから、私の頭は思考停止。壊れた機械のように、「餃子→カレ→焼きそば→餃子→カレー→焼きそば→…」を繰り返しています。
この罰ゲームのような食事から脱出したい。それも、頭を捻らず、簡単にできて、おいしい料理がいい………。
そんな私の救世主となったのが、『その料理、つくり方間違ってます。 おいしさを逃さない「うま味」方程式』。本書は、栄養学のスペシャリストたちが、科学的に“おいしさの方程式”を解明。その公式を教えてくれるという、「料理難民のあんちょこ」のような一冊なのです。
この非常時を乗り切るべく、今回、その一部を特別に公開させていただきました。これらの方程式を頭に叩き込み、毎日の家事をらく〜にしていきましょう!

 


食材の特性を活かさずにだしを加えるのはナンセンス


食品売り場には和・洋・中とジャンルも豊富にだしの素が並んでいます。ところで、だしを使わずに料理を作ったらまずかったという経験は? では“だし”とは一体何でしょう。簡単に言えば“うま味”成分のこと。アミノ酸の一種であるグルタミン酸ナトリウムやイノシン酸ナトリウムといった有機酸を指し、すべての動物性食品や野菜などに含まれています。

たとえばスープを作る場合、具材が本来持っているうま味成分を引き出せば“洋風だしの素”は不要なはず。失敗しがちなのは、よりおいしくしようと、何日も繰り返し煮込んで素材の細胞を壊してしまうこと。味が浸透しすぎて濃い味になり、風味も落ちて何らかのだしの素を加えないと満足できない味になります。
だしの素を加えたくなる=素材の味を失ったということなのです。

 


食材が多ければ味がおいしくなるわけではない


スープや煮物などを煮汁ごと食べないと味けなく感じるのは、素材の味がすべて煮汁に逃げてしまった証拠です。 
「おいしさ」を逃さないためのコツは、「食材の組み合わせ方」や古今東西で活用されてきた「うま味食材」を把握するのが早道です。
うま味成分は大別してアミノ酸系(グルタミン酸)と核酸(かくさん)系(イノシン酸やグアニル酸)の2種類。うま味は違うグループと組み合わせると、うま味相乗効果で最大7〜8倍にもアップします。
たとえば、同じ核酸系うま味成分であるかつお節(イノシン酸)と干ししいたけ(グアニル酸)を組み合わせても、うま味が飛躍的に強くなることはありません。昆布や野菜などに含まれるアミノ酸系うま味成分(グルタミン酸)と、肉や魚に含まれる核酸系うま味成分(イノシン酸)を組み合わせるのが王道だと考えておくと間違えがありません。