新型コロナウイルスによるロックダウンや外出自粛により、世界中で問題となっている家庭内暴力(DV)の増加。また最近は“妻から夫へのDV”も増えているのだとか。ストレスを抱えることで誰もが陥る可能性があるのがDVの怖さ。心理カウンセラーの根本裕幸さんに、被害者・加害者のどちらにもならないための対策を教えていただきました。

前回記事【コロナDV】いつもは優しい人が、自粛ストレスを家族に向けてしまう理由>>

 


外出自粛要請が解けた後こそ要注意


4月7日の緊急事態宣言発令からおよそ1ヶ月半。政府は42府県を対象に緊急事態宣言を解除しましたが、外出自粛要請が解除されればDVも減るかというと、そう単純な話ではないようです。

「たとえコロナが終息しても、その後には深刻な経済不況が襲ってくると言われていますよね。日本の男性の多くは、もしかしたらそちらのほうがキツいかもしれません。ほとんどの企業は収益が落ちていますから、間違いなくボーナスは減るでしょうし、給与削減、最悪の場合は解雇もあるかもしれない。そういった経済不安からくるストレスは今後より強くなりますから、DVはむしろこれからのほうが増えるのではないかと予測しています」

そして気をつけたいのは、ストレスから家族に暴力を振るうのは必ずしも男性だけではない、ということ。実は、最近は妻による夫へのDVも増えているのだといいます。

「女性は自分の力の弱さを埋めるためにモノを投げつけることが多く、結果、大怪我につながるケースも多いです。女性からなら大したことないだろうと思うかもしれませんが、実際はそうでもないんですよ。それこそ手が出ていなくても、相手を傷つける言葉を投げつけるのだって立派なDV。言葉の暴力も含めれば、最近は“妻から夫”の方が多いかもしれません。しかもこの場合、夫はプライドもあってなかなか外に言えず、事態を悪化させてしまうことが多いんです」


ただ喋ることも大きなガス抜きになる


緊急事態宣言中のSNSには、あらゆる人がそれぞれに「おうち時間」を楽しむ様子が溢れましたが、その一方で「家族とずっと一緒にいることが正直つらい」「ストレスが溜まりついつい怒鳴ってしまう」といった悲鳴も多く聞かれます。前回記事で根本さんは「DV防止にはこまめなストレス発散が大事」と解説してくれましたが、効果的な発散方法には男女でそれぞれ違いがあるようです。

「最近は、自宅にこもった生活での運動不足を解消しようと公園などを走る人が多いようですが、体を動かすことは非常に効果的です。とくに男性には筋トレがお勧め。もし夫がフラストレーションを溜めているなら、その負のエネルギーを腕立て100回に向けさせるのはどうでしょうか。運動を20分続けると、大抵の負の感情は発散されてしまうといわれています。できればイライラが溜まってからではなく、平常時から運動をおこなうようにしたほうがいいでしょう」

 
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