新型コロナによって起きたさまざまな生活の変化で「最近、疲れやすいな……」と感じている人は多いはず。でもそのしんどさ、もしかしたら環境変化のせいだけではないかもしれません。さまざまな刺激を感じやすい「繊細さん」とは、このような非常時に自分を守るための対処法は? 4月に新刊『「繊細さん」の幸せリスト』を発表した武田友紀さんに、詳しく教えてもらいました。

 


もしかして、あなたも繊細さん? 
 

「ニュースやSNSで激しい口調でやりとりされているのを見るとつらい」「在宅ワークで夫婦とも家にいる。一人の時間がなくて息苦しい」「世の中のムードがピリピリしていて気を使う」「人との距離が開き、苦手な人に会うことも減って、正直なところほっとしている」

繊細な人たちから、このような声が上がっています。あるある!と思った方は、もしかしたら繊細な人、「HSP」かもしれません。

HSPはHighly Sensitive Personの略で、繊細な人のことです。繊細な人は、光や音、相手の気持ちなど、他の人が気づかない小さなこともよく感じ取ります。刺激を受けやすいため、疲れやすかったり、ストレスが体調に出やすかったりすることがあります。

また、繊細な人はまわりの人よりも深く考える性質を持っています。そのため、悩み事をまわりに相談すると「そこまで気にしなくていいんじゃない?」「よくそんなことまで考えるね」と驚かれることがあります。

繊細な人たちの感じやすい性質は、長らく「気にしすぎ」「真面目すぎる」など、個人の性格によるものだと誤解されてきました。ところが、アメリカの心理学者エレイン・アーロン博士が行った調査により「生まれつき繊細な人」が5人に1人の割合で存在することがわかってきました。繊細さは生まれ持った気質であり、生まれつき背の高い人がいるように「生まれつき繊細な人」がいることがわかってきたのです。

アーロン博士によると、人間だけでなく馬やサルなどの高等動物も、全体の15〜20パーセントは刺激に対して敏感に反応するそうです。種として生き延びるために、慎重な個体が生まれたのではないかと考えられています。

アーロン博士は、こうした人たちをHSP(Highly Sensitive Person)と名付けました。HSPは日本語で「とても敏感な人」「敏感すぎる人」と訳されていますが、この気質を「いいもの」としてとらえたいと考え、私は「繊細さん」と呼んでいます。

もしかして、私も繊細さんかも? という方は、アーロン博士のHSPセルフテストを試してみてください。全部で27項目の質問があり、14個以上当てはまれば繊細さんの可能性が高いと言われています。

アーロン博士によるHSPセルフテストはこちらから>>

さて、新型コロナウイルスの影響で社会が変化する中、繊細さんたちはどのようなポイントに気をつけて過ごしたらいいのでしょうか。今回は、まず知っていただきたい2つのポイントをお伝えします。


1.「いつもどおり」を目指さなくていい。休憩しながら進もう


仕事が在宅ワークになったり、お子さんの休校・休園にともなって仕事と育児を同時にやらなければいけなくなったりと、仕事環境が変化した方がいます。「副業を本格化しようと思っていたけれど、このタイミングではできないと思い様子を見ることにした」という方もいます。

また、プライベートでも
「趣味のサークル活動が中止になり、ストレス発散の場がなくなった」
「ニュースやSNSで激しい口調でやりとりされているのをみるとつらい」
など、みなさん、さまざまな影響を受けています。

この状況のなかで
・疲れやすくなった
・緊張がとれない
・うまく仕事に集中できない
・やたらと眠い
・イライラしやすい
などが起こりやすくなっています。「自分ではそんなに影響を受けていないつもりだったけれど、気づかないうちに疲れていた」「いつもはしない寝坊をしてしまった」という方もいます。

この状況でまずお伝えしたいのは、「いつもどおり」を目指さなくていい、ということです。
 

 
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