封じ込め戦略と軽減戦略

 

非薬物的な予防法というのは、各報道で何度も触れられているので、皆様にももう浸透しているのではないかと思います。

個人レベルでは、手指消毒や咳エチケットといったものがそれに当たります。

また、社会レベルでは、封じ込め戦略と軽減戦略の2つがあります。

 

前者の封じ込め戦略は、日本が感染流行初期からうまく行なってきた手法で、感染者の隔離とその濃厚接触者の追跡、検疫などで構成されるものです。一般人口の労力や痛み、経済損失を伴わず、少数の労力のみで行えるのが最大の利点です。日本ではこれを、各地域の保健所の方々の惜しみない努力で行ってきました。

一方、感染者が増えすぎてしまうと追跡が不可能となり、この戦略だけで戦っていくことは難しくなるというのがこの方法の最大の欠点です。

後者の軽減戦略は、日本でも今まさに取られている方法で、感染の有無に関わらず広く一般の方の接触を抑止する、ソーシャルディスタンスや外出自粛、マスクの装着などがこれに該当します。

感染が広く蔓延していても有効なのが強みですが、ご存知の通り、皆で痛みを分かち合わなくてはならず、経済打撃も大きいのが短所です。

有効なワクチンが開発されていない以上、感染流行が広がっている時期には、後者も必須となりますが、感染が収束に近づき、感染経路を追えるようになれば、再び、前者だけで感染を抑え込むことも非現実的ではなくなってくるでしょう。そうすれば、経済活動再開が本格化ということになります。

 

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他には、「感染者追跡アプリ」のようなものが話題となっています。これも普及すれば有効な方法になりうるかもしれません。このようなテクノロジーには、封じ込め戦略における人的な労力の軽減(日本では保健所の負担軽減)やキャパシティの拡張(感染者が増えても前者だけである程度戦えるようになる)効果への期待が持たれており、可能性のある「予防戦略」の一つです。

ワクチンや薬の予防が確立されておらず、この先いつになるかもわからない現状だからこそ、個人レベル、社会レベルの予防の取り組みが重要とされているのです。

ワクチンが開発され、コロナウイルスとうまく共存できるようになるその時までは、程度の差こそあれ、どうしてもこのような取り組みが必要な時間が続くと思います。苦労する時間が続くと思いますが、止まない雨はない。
少しずつできることを続けていきましょう。

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