新型コロナウイルスよりも恐ろしいもの

 

そして実は、新型コロナウイルスよりも怖いものがあります。それは人間相互の不信です。
『サピエンス全史』の著者、ユヴァル・ノア・ハラリも述べていましたが、今、コロナと戦っている人類には「グローバルな信頼と団結」が不可欠です。世界中でパンデミックが起き、世界中が同じ課題と向き合っているからこそ、世界の人々の信頼と連帯が力となるのです。

先ほどもお話ししたとおり、グローバリゼーションによって、症例や病状の進行のスピードなどについての情報を世界中で共有することが可能になっています。もともと、現代人であるホモ・サピエンスは、情報共有ができることを強みとして生き残ってきた動物です。

一人が学んだ情報や思考を、大勢で共有できることで、肉体的に弱い動物であるにも関わらず、現在の繁栄を築き上げた生き物なのです。それに対して、ウイルスはひとりでは動けませんし、当然日本のウイルスとアメリカのウイルスが情報共有を行うこともできません。人間相互の信頼や団結をグローバルに展開することは、ウイルスに対して、私たち人類が持っている最大の優位性なのです。

人間相互の不信感が芽生えるのは、正しい知識を互いに持っていない時。時には、正しい情報に出会えないこともあります。さらにひどくなると意図的に作られたフェイクニュースが世の中に多く出回るようになります。

本日最後におすすめする本は、そのような玉石混交の情報への向き合い方を、優しく冷静に教えてくれる本です。

知ろうとすること。』早野龍五、糸井重里著 新潮文庫
3.11の事故後、錯綜する情報の中で、事実を分析し発信し続けた物理学者・早野龍五さんと、糸井重里さんが「科学的に考える力の大切さ」を語り合います。

三冊のおすすめ本、いかがでしたか。

『どうする!? 新型コロナ』でウイルスと感染症について正しく学び、
『答えのない世界を生きる』で考えることを学び、
『知ろうとすること。』で情報との向き合い方を学ぶ。

今、新型コロナウイルスを怖いと思っている皆さん、漠然と不安を抱いている皆さんにこそ、これらの本をお読みいただけたらと思います。

今回は、世界共通の課題や不安との向き合い方という、世界中の人々が直面している課題についてお話しました。

次回は、働き方や家族、教育の変化といったテーマでお話しいたします。

構成/大西奈緒