テレワークの次は、より自由度の高い働き方へ
この調査結果で特に注目したいのはテレワークの浸透度合いです。フリーランスでは「コロナショック前からテレワークを活用していた」人が半数以上を占め、もともとテレワーク活用度は高いのですが、会社員でも「コロナショックを機にテレワークを活用」し始めた人が41.7%にのぼり、会社員のテレワーク活用者は77.6%に達しました。また、フリーランスも会社員もテレワーク活用状況がコロナ前後の収入・働く時間に影響しており、「テレワーク活用済」か「未活用」かで「収入が減った」と回答する割合がいずれも20%前後差があります。
もちろん職種によってはテレワークでの業務遂行が困難な仕事もあると思いますし、地域による浸透度合いにも差があることが容易に想像できます。しかしながら、今回のコロナショックに関して言えば、「業務のオンライン化・リモート化」に取り組んでいることが影響の多寡を左右している部分があるとは言えそうです。実際、このコロナショックで「影響を受けていない」フリーランスの方たち数人にお話を聞いたところ、共通していたのは、コロナ前からリモート中心で業務を行っていた点でした。
【フリーランス:会社員】コロナ禍でのテレワーク活用状況
コロナ前後の会社員の回答を比較すると、「副業」「非営利活動」「フリーランス(個人事業主)」「起業」を考える人が増加しています(ただしコロナ前後で調査方法に違いがあるため比較には留意が必要です)。実際、今回のコロナを機に自身の今後のキャリアについて改めて考え直した方は少なくないのではないでしょうか。
社会的な危機を経験することで一度立ち止まり、自分の人生を見つめなおす……私自身のお話をすると、東日本大震災を機に自身の今後の人生で「本当にやりたいこと」は何かを考え、「人生は一度きり」という実感から会社を辞めてフリーランスとして新たな道を歩みだした経験があります。
今回の調査結果には会社員の方たちがこの未曾有の危機に際して、(これまでは安心安全と言われてきた)会社員であっても突きつけられている不確実性の高さに直面し、「自分が本当にやりたいこと」を見つめ直した結果が現われているように感じます。現実的に多くの方がテレワークを経験してみた結果、働く時間と場所の自由度が高いフリーランスやパラレルキャリアなどのワークスタイルへの現実的なイメージがわいたなどの影響もあったでしょう。
【会社員】〈before/after〉今の仕事や働き方の問題解消・満足度向上のために考えていること
アフターコロナの働き方については、フリーランス・会社員いずれも「時間・空間の制約からの解放」「企業の内外を自在に移動する働き方の増加」「兼業・副業・複業の一般化」といった回答が上位を占めました。
【フリーランス:会社員】アフターコロナ社会の働き方予測
「会社や組織、場所にとらわれない働き方が進むと思います。残念ながら消滅する企業や店舗なども生まれる中で、元に戻るのではなく新たなワーキングスタイル、自由に生きる価値観を追求する機運が高まると思います。」(50代フリーランス女性)
「今まで、能力はあるのに会社に出社し組織の中で働くということが難しいとされる人たちがたくさんいました。その人たちが自分たちらしい働き方が問題なくでき、能力が認められる社会になると必然と多様性が認められる社会になると思います」(30代会社員女性)
今回、多くの人がある意味で半ば強制的にテレワークを活用した働き方を経験したことは非常に大きな意味があると私は思います。Withコロナ時代にテレワーク・リモートワークは働き方のひとつの形としてますます一般化していくことでしょう。
そして働く時間・場所の自由度はより高まり、ここ数年の国を挙げての副業・兼業推進の流れもあり、プロジェクト型のワークスタイルが社会全体に浸透していくと思われます。アフターコロナの時代には、ひとりひとりが自分の想いや本来やりたかったことに気づき、雇用・非雇用にかかわらず、フリーランス・パラレルキャリア的な自律したワークスタイルを志向する人が一層増えていくと推測されます。会社員の方であっても、副業やボランティア、地域活動などに携わる方が増えていくのではないでしょうか。そのときに自分として何をしたいのか? どうありたいか? どのように社会や地域と関わっていくのか? 今回の調査結果がみなさんにとって今後のキャリアを考えるヒントになればうれしいです。
前回記事「40代2児の母が「東京へ移住&フリーとして独立」に挑戦できた理由」はこちら>>
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