すぐやれば、ラクで楽しい


さらに菊原さんは、夢を叶える人ほど、1分間でアクションを起こしていると語ります。

「実行する人は、1分以内にスパッと決断します。それも“明日から”、もしくは“今から”と実行日を最短に設定するのです。 このような人の実行率は高くなります。 アクションプランの内容が同じだとしても、“今から”と“仕事が片づいたら”では、天と地ほども差がつくのです」

筆者の知り合いに、「手のひらにスマホがくっついているのか!?」というほど、いかなる時も即レスをくれる方が何人かいますが、その方々は皆さん、売れっ子。その割にホームパーティを催したり、飲み会の幹事も引き受けていたりと、公私にわたって活躍している印象があります。
もしかすると彼らは自然と「1分間仕事力」を身に着けているのかもしれません。

 

さらに菊原さんの教えで膝を打ったのが、「すぐやればストレスフリー」というくだりです。

 

「クライアントから要望をヒアリングして、そこから別の仕事をします。 翌日あたりに手を付ける場合はまだマシです。わりとスムーズに作成できます。しかし、3日後、5日後と時間が経過した場合は、まるで別物になります。メモを見るものの、なかなかはかどりません。時間がかかるうえに、作成するのが非常にしんどいのです。資料づくりは、時間が経つと“楽しい”から“苦しい”に変わってしまう、ということを痛感しています」

この「しんどいパターン」、筆者も会社員時代に何回も繰り返した苦い記憶が……。その一方で、打ち合わせ後すぐに企画書へ落とし込むと、先方の熱量がそのまま文字に現れる上、記憶が新鮮なので思い出す作業が要らず、すぐに作成が終わるんですよね。
この爽快感は本当に気持ちがいいですし、プロジェクトそのものに対して「出鼻がくじかれた感」がないので、前向きに取り組めた記憶があります。

「1日の労働時間が8時間だとしても、それは1分1分の積み重ねです。これからの時代は、働く時間が制限されるうえに仕事も減りません。変化していく状況の中、『1分間仕事力』をマスターした人だけが結果を出せるのです」

そして菊原さんは、「『1分間仕事力』は才能ではなく、後天的に身につける技術である」とも語っていました。
とすれば、環境がいかに変わろうとも、最短で最良の仕事ができる術を誰もが身につけられるはず。働き方を見直すきっかけになる「1分間仕事力」は、今まさに求められているスキルではないでしょうか。

『1分間仕事力』
著者:菊原 智明 さくら舎 1500円(税別)

「目の前の1分」に集中することで劇的に仕事が楽に、そして結果もついてくるトップ営業マンの仕事術を大公開。メールのテンプレート化、1分間だんどり法、1分以内のレスポンスなど、具体的な仕事短縮法が満載で、すぐに役立てることができます。


構成/小泉なつみ