常に人種差別と闘ってきたメーガン妃の人生

写真はエンデバー基金賞に出席されるメーガン妃。写真はイメージです。本文とは関係ありません。写真:アフロ

実はメーガン妃は、2012年にも人種差別のキャンペーン“イレイズ・ザ・ヘイト”に参加していました。
そこでは、自身が白人と黒人のバイレイシャルであること、しかもほとんどの人がそのルーツまではわからないこと。人生の大半において、誰にも認知されていない存在かのように感じていたことを明かし、またそれまでに経験した直接的な人種差別についても告白をされました。

たとえば、大学の休暇で帰省中、母と一緒に行ったコンサートの終了後、駐車場から車を出すのに手間取っていたアフリカ系である母へ浴びせられた差別的用語。

また、幼い頃祖父と車でドライブの途中に立ち寄ったファストフード店で、注文は有色人種用のレストラン裏口で、食べるのは駐車場だったという体験。
これらがトラウマになっているそうです。

物心ついた時からその問題と共に生きてきたメーガン妃とは比べものになりませんが、私も英国在住中、日本人であると言うだけで差別的な言葉を街中で投げかけられたりした経験があり、“人種差別”を頭で理解することと実際に体験することでは大きく違うということを実感しました。

同時に一方で、偏見というある種の差別も含めて自己を省みるきっかけともなりました。そして意識するかしないかの違いはあれど、実は差別意識のない人こそいないのではないかと言う結論に至りました。
 

 

語らないことが美徳、の英国王室にとってこの発言はいかに!?

写真:アフロ

人種差別にはもちろん反対!その意識改善のために立ち上がることも勿論重要だと思います。その上で、このメーガン妃の動きが英国ロイヤルファミリーにとってはどうなのか??というのも、どうしても気になってしまいます。メーガン妃がロイヤルファミリーの一員でなければ、ご自由に、で済まされるでしょうが、上級メンバーからは離脱したとはいえ、依然ロイヤルメンバーの1人。

なぜにこんなことを、というと英国王室には、エリザベス女王の母クイーンマザー時代から信じられてきた、暗黙のモットーがあるから。それがこちら。
“Never complain, never explain”(決して不満を言わず、説明もせず)

元は1800年後期の英国のディズレーリ前首相の言葉ですが、国民から愛され続けたクイーンマザーがこれを守り続けていらしたことから、もはや王室の信念と言えます。ご結婚以来、メーガン妃の言動がいちいち物議を醸すのも、こんなベースの発想が根づいているからでしょう。日本もこれに近いですよね。

しかしながら、無言が賢明の策とされてきた価値観も、現代のストレス社会を象徴するかのごとく、ウィリアム王子ご夫妻やハリー王子がメンタルヘルスのためには「気持ちを声に出そう」と言ったキャンペーンを立ち上げられたりと、世代による変化も見られるようになってきました。

とはいえ、常に平和を願う立場であるロイヤルファミリーと比べると、今回のメーガン妃のメッセージはやはり活動家に近いものと言える気がしてなりません。

ただ、明らかに良かった!と言えることがひとつ。
現在上級ロイヤルメンバーから離脱されていたことと、ハリー王子と一緒ではなくお一人で語られたこと。あくまでも母国、母校への想いという形で述べられたことは正解だった、と胸をなでおろす次第でした。
正しいことがイコール相応しいこと、とは絶対的に言い切れないところがロイヤルファミリーとしてはあるでしょう。

まだまだ私は甘いのかもしれませんが、誰しもがリーダーになる必要はないし、立ち上がることだけが改善の方法ではないと思うので、まずは、このような事実や現実があることを知る。そして自己を顧みて、発言や行動を考える。
コロナも一人一人の意識が感染防止に大切であるように、差別についても私たち一人一人の心の奥底にある意識に注視し、行動することが大切なのではないかと思いました。

構成/高橋香奈子、片岡千晶(編集部)

 

前回記事「王室恒例ガーデンパーティーでのキャサリン妃流着回しファッション」はこちら>>

 
  • 1
  • 2