これまで新型コロナウイルス感染症についての記事を書いていただいてきた、総合診療医の山田悠史先生ですが、今回のテーマは、口臭について。
エチケットというだけでなく、健康に深くかかわるということで、コロナ同様、正しく知っておきたいところです。
医師の解説する、口臭の原因、予防方法とは。おすすめの口臭対策とは何か。
過去の記事と合わせて、お読みいただき、健康にお役立てください。

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口臭には3つの種類がある


新型コロナウイルス感染症の流行を受け、多くの方がマスクをつけるようになりました。マスクをつけるようになって「自分の口臭が気になるようになった」という方も少なくないかもしれません。

食後の臭いならいいかもしれませんが、「何も食べていないのに口が臭い」「病気かもしれない」などと考える方もいるようです。そこで、本記事では、危険な口臭の見分け方についてまとめていきたいと思います。

一般的に、口臭は、生理的口臭、病的口臭、主観的口臭の3つに分けられます。それぞれどのようなものでしょうか。
 

 

生理的口臭 ~起床時、月経時、臭いのきついものを食べた時~


まずひとつ目は、生理的口臭と呼ばれるもので、基本的に心配のいらないものです。これは多くの方が経験していると思いますが、朝起きた時に強い臭いを感じるというものです。でも朝、歯みがきをすればそれ以降はスッキリ。そんな経験、ありませんか?これは、皆にありうる「生理的」な口臭で、病的なものではありません。朝起きた後に歯ブラシをしたり、朝食を食べたりすることで消えていく一時的なものです。

寝ている間というのは、唾液の流れが少なくなり、細菌が口の中で繁殖しやすくなります。口臭は、この細菌によって作られる化学物質によって生じると考えられています。実際、全体で見ても、口臭の8割以上は口由来であることが知られています(参考1)。

舌の上の細かな溝の間や、歯の間などに食物が残っていると、細菌が臭いを作るもととなり、臭いがより悪化することも知られています。寝る前の入念なブラッシングが口臭を防ぐために大切なことがわかります。

しかし、どんなに口臭が強くても、朝食をとったり、ブラッシングをしたりすることで、再び唾液が出るようになり、細菌が洗い出され、口臭はおさまります。このように、朝にだけ感じられ、ブラッシング後に消える口臭はあまり心配のいらない口臭と言えます。

なお、女性の場合には、月経中に唾液分泌が減りやすくなり、月経中だけ口臭が気になる場合があることも知られています(参考2)。

また、生理的な口臭には他にも原因があります。これもわかりやすいと思いますが、タバコやアルコール、食品でいえば、ニンニクや玉ねぎなどを摂取した後にも口臭は生じえます。これは摂取したもの自体の臭いによるものであり、上のメカニズムとは異なりますが、これもあまり心配のいらない口臭といえるでしょう。

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