「“毎日の料理を楽しみにする”というクックパッドの理念を伝えることをミッションとして働く中で、『私自身の料理の楽しみ』を言語化したいと思っていたんです。そうしてこの本を作るとなったとき、ふと、自分でもできるという実感、そしてまずはレシピを見ずに料理が作れることが、楽しくなるきっかけになるんじゃないかと思って。だから、本のタイトルにも“丸暗記”と入れました」

取材後、「鶏むね肉のケチャップ炒め」、「たらこパスタ」に加え、「春雨サラダ」と「さわらの塩麹焼き」、「ポルチーニのクリームパスタ」を作った筆者。やっぱりどれもおいしかったし、簡単。簡単だから本当に丸暗記できるし、「おいしく作れた」という成功体験により、応用というチャレンジもしやすいことも発見。「さわらの塩麹焼き」で塩麹の威力に驚いた翌日には、賞味期限が近づいていた豚肉とみょうがでチャンレジしてみたのでした(そしておいしかった!)。

「私も昨日の夕飯で作ったんですけど、塩麹って、塗って焼くだけでおいしい。西京漬けのような感じになるんです」という小竹さんの言葉が頭から離れず、さわらが特売になっていた取材後にすぐさまチャレンジ。そのお味は、デパ地下で買った高級品のようでした…!

「紹介したレシピは大量のアイデアの寄せ集めで、自分で思い浮かんだものは組み合わせくらい。でも、だからこそ、根本の考え方さえマスターしてしまえば、誰でも応用が効く。サラダは、『オイル1:酢1+塩少々』でなんでもおいしくできます。
亜麻仁油とかえごま油とか、流行りで買ったけど使いかたがわからないオイルってありませんか?でも、油は油です。上の比率さえ覚えておけば、気軽にいろんな調味料や食材が試せますよ。
その他のレシピも暗記しやすいよう、調味料は全部大さじ1。大さじが測れるスケールをいくつか持っておくと便利ですね。あとは、作る前に使う調味料と材料は全部出しておく。時間のかかるものから最初に準備しておく……。料理が手抜きではなく、手際よくできるコツは、こういったほんのちょっとのことなんです」

「レシピを聞かれることが一番多かったかも知れない」と言う、小竹さんを代表するレシピ。「料理が得意かも、とすぐに感じられるのがサラダです」(小竹さん)。