沖縄に本社を構えるオリオンビールが、ストロング系チューハイの販売を中止したことが話題となっています。アルコール度数が高く、価格が安いことからお手軽に酔える商品として人気でしたが、同社ではアルコール依存症のリスクを考え、あえて販売中止に踏み切りました。

 

英断だという声が多く聞かれますが、この動きがさらに拡大した場合、手軽に酔える商品が少なくなることを不安視する消費者もいるようです。アルコール依存症の問題に対しては、メーカーはどこまで配慮すべきなのでしょうか。

オリオンビールは今年の4月、ストロング系チューハイの販売を終了しました。ストロング系チューハイは、アルコール度数が9%程度と高く、甘い飲み口も手伝って気軽に酔えることから人気が高まっています。同社の商品も好調な売れ行きでしたが、あえて販売中止に踏み切ったのは、消費者の健康を考慮したからです。

ストロング系チューハイについては、医療関係者から依存症などのトラブルを誘発しやすいとの意見が出ていました。しかし、ストロング系チューハイは、低迷が続く酒類市場の中では唯一、販売が大きく伸びている分野であり、各社とも、この商品に頼らざるを得ない状況です。

こうした中、オリオンビールが消費者の健康を考え、撤退を決断したことから業界では大きな話題となったわけです。オリオンビールの早瀬京鋳代表取締役は雑誌のインタビューに対して、「(健康問題を考えると)黙っていられなかった」と述べており、アルコール依存症のリスクを考えた決断だったことを明らかにしています。

オリオンビールは、沖縄に本拠を構えるビール会社で、アサヒ、キリン、サントリー、サッポロの上位4社にはかないませんが、大手ビールメーカー5社の一角を占める存在となっており、沖縄では高いシェアを維持しています。

2019年には野村ホールディングスや米投資会社などが共同で同社を買収。外資系企業で豊富な経験を持つ早瀬氏が社長に就任したことで、新しい展開が期待されていたところでした。消費者の健康を重視する姿勢を打ち出した背景には、経営体制が変わったことも影響しているかもしれません。

アルコール依存症に配慮した同社の対応については評価する声が多いようですが、もしこの動きが上位4社にも波及した場合、手軽に酔える商品がなくなってしまう可能性がありますから、一部のファンからは心配する声も上がっているようです。

 
  • 1
  • 2