――お金をしっかり使う一方で、貯蓄も計画的にされてきましたか?

 

清明:それが、20代の頃は初任給って少ないこともあって、実はしばらくローンがたまっていたんです。
といっても、むやみに浪費をしていたということではなくて、いわゆる無形固定資産と言われるような、将来の価値につながるものに投資をして自分の資産を膨らませたいと考えていました。

お金がなくても、お客様や社員のみなさんとゴルフに行ったり、飲みに行ったり。楽しいのはもちろんのこと、いい関係ができて仕事がやりやすくなりますし、人のつながりで学ぶことがたくさんあります。消費ではなく“投資”としてお金を使うことで、将来の自分に何かの形でたくさん返ってくる感覚がありました。

 

――周りの方々との関係も大切にされていたのですね。

清明:はい、周りの方にもたくさん助けていただきました。「給料日まで1週間あるのに、1000円しかない」「給料日前日なのに、全財産が100円」というときもありましたが、その状況をわかって先輩が飲みに誘ってくれて、おごってくれることもありまして。その先輩たちに連れて行ってもらったからできた人間関係もたくさんありました。「いつか返そう」と思っても、先輩はいつまでたっても先輩なので、返すタイミングが見つからなくて……。
「自分はいいから、次の後輩に同じようにしてあげて」と言われて、私も後輩と積極的に飲みニケーションをするようになりました。そうして、どんどん次につながっていくといいですよね。

――恩送り、ですね……。お金をあまりに使いすぎて困ったことはありませんか?

清明:はい、そこは大丈夫でした(笑)。「自分の収入以上は使えない」とわかっていたので、収入もしっかり増やしていこうと、仕事のスキルを身につけることにも力を入れてきました。
20代後半からは収入も増えて、借入なしで生活できるようになりました。そこでようやく積立預金や投資信託を始め、将来に備えるようになったんです。

――お金を使いながらも、収入を増やすことに力を入れたいい結果ですね。

清明:「仕事の報酬は仕事」という言葉もありますよね。仕事をがんばればがんばるほど、次のチャレンジが与えられる。そこでがんばったら、また次のチャレンジがやってくる……といった具合に。
「難しそうだな、大変そうだな」と何も経験せずに終わってしまうと進歩がないと思うんです。躊躇したりすることなく、難しいことにもどんどんチャレンジしていきたいと思っています。
お金もただ持っているだけでは何の価値も生み出さないのと同じですね。

撮影/山本遼
取材・文/西山美紀
構成/片岡千晶(編集部)

 

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