瞑想によってモードの切り替えができる


無意識にすごしていると、基本的にはドゥーイング・モードになり、心によけいな考えが積み重なっていきます。ひとつのものごとが大きな不安や心配になっていくのです。それが悩みの源です。

瞑想でビーイング・モードになると、その流れが止まります。ネガティブな思考の流れが止まって、悩みを深めることがなくなるのです。不快な悩みも、もとは心のなかで一瞬わき起こった感覚のひとつにすぎないことに気づきます。

瞑想によって、悩みを大きくしていたのは自分の考えだったのだということがみえてきます。それこそが、悩みの正体なのです。

 

マインドフルネス瞑想は、この2つのモードを切り替えるスイッチになっています。人は自分の考えにとらわれがちですが、瞑想をすることでその流れを一度止め、モードを切り替えることができます。ここでその基本的な手順を解説しましょう。

 

<瞑想によるモード切り替えの基本的な手順>

① 瞑想スタート
感覚に意識を向ける考えから意識をそらすため、呼吸や体の動きなど、体の感覚に気づきを向ける。呼吸なら鼻から出入りする空気の流れを感じ、一つひとつの感覚に気づく。

② 考えが生まれる
体の感覚に気づきを向けていると、心のなかに「今日の夕飯」「明日の予定」などと考えが生じてくる。

③ 考えに気づく
考えるのは自然なこと。考えも一瞬ですぎさるものだと気づき、また体の感覚に注意を向ければよい。

④ ほかの感覚にも気づく
呼吸や体の動きのほかに、痛みやかゆみなども感じるが、それも自然なこと。また呼吸に意識を戻す。

瞑想スタート時の①に戻る
考えや痛みなどに気づいたら、また体の感覚に意識を向け直す。それを何度もくり返すことでモードが切り替わる。


あるがままのビーイングこそがマインドフルネス


ビーイング・モードは、あるがままの心で「いま」「ここ」にある現状を正しく認識できる状態です。それこそがマインドフルネスといってよいでしょう。
 
マインドフルネス瞑想によって、悩み深いドゥーイング・モードを心の本来の姿であるビーイング・モードへと、切り替えることができます。

 

瞑想は思い悩む悪循環を断ち切り、ものごとをシンプルにとらえるための、練習のようなものだと考えてもよいでしょう。
 
効果を求めてあせらず、練習をくり返せば、モードの切り替えは誰にでもできます。

瞑想を、小一時間じっくりとおこなうものと思っている人もいるかもしれません。マインドフルネス瞑想の場合は、10分間で十分に実践できるものもあります。

次回は、自宅でも簡単にできる「すぐに始められるマインドフルネス瞑想法」について3つの具体的な方法をお伝えしていきます。

『図解 マインドフルネス瞑想がよくわかる本』

監修:有光興記(講談社/1,300円税別)

悩みがなくなる、仕事がうまいくいく、ストレスが減るなど、その効果が注目されるマインドフルネス瞑想。わかりやすい図解でみるみる理解が深まる、マインドフルネス瞑想入門書の決定版。


構成/金澤英恵

第2回「食事も、散歩も瞑想タイム! 今すぐ始められる3つのマインドフルネス瞑想法」は7月22日公開予定です。