本音と建前。自分でもわかってるから、疲れるよね


ちょっと話はドラマから離れるんだけど、あとでもう一度戻ってくるから、しばしお付き合いくださると。

 

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まだコロナがここまで深刻じゃなかったころ、女性記者さん数人と集まる機会があったんです。

ちょうど、国際女性デーの直前で、そこに集まっていた記者さんたちも、「男女平等」や「今も残る差別の撤廃」について、シャープなフェミニズム論を展開している人が多かった。職場や家庭で女性がどれだけ苦労をしているか、どうすれば女性はもっと生き生きと生きられるのか。そんな記事はとても面白かったのだけれど……。

お酒が入るにつれ、話題は、「男性にご飯を奢ってもらうかどうか」にうつっていった。

驚いたのは、その場にいた私以外の女性が全員、「女がお会計の時に財布を出すなんて、男性に失礼ですよう」とか「男性に恥をかかせちゃだめでしょう」って言ったことなんだ!!!
え、なに、その矛盾! 
雇用機会均等は主張するのに、財布を出す機会は均等じゃないの? 昨日の記事との整合性は? って、私、結構混乱した。

で、私が混乱しただけじゃなくて、彼女たちも実は、内心その矛盾を抱えていることで、ストレスを感じているんじゃないかなあと思った。
ダブルバインド(2つの矛盾したコマンドが並行して実行されること)があると、精神が不安定になるのはいろんな心理学の研究で明らかになっている。

で、話は戻るんだけれど、
そんなこんなの今の時代、『新・やまとなでしこ』を作るとしたら、男も女もかなり複雑だと思うんだ。

桜子 「男性の価値は、資産、遺産、不動産です」
私たち「男の価値はお金じゃない(建前)。でも奢ってくれない男は嫌(実際)」

桜子 「女は27を超えたら価値が暴落。今のうちに結婚相手を見つけなきゃ」
私たち「女の価値は年齢じゃない(建前)。でも若く綺麗に見られるのは、嬉しい(実際)」

暗に要求される男も辛いし、自己矛盾を抱えている女も苦しい。

そう考えると、
男はお金か愛情か、の二項対立だった時代は、残酷だけれど、平和だったのかもしれない。いまだと、お金に愛に家事に育児に優しさに……。この不景気に、女性から全方向でジャッジメントされるメンズは、シビアだ。

一方、女も。若さと美貌が全てだ、がまかり通っていた時代は、最低だった。でも、そのぶん、加齢していく自分に、じたばたしなくてすんだのかもしれない。
けれども、年齢を重ねても美しい女性が増え、仕事もプライベートも充実させている同性を見ると、努力次第なの? って気分も芽生える。それってわりと、しんどい。

というわけで、『やまとなでしこ』を見て、スカッと気持ちいいのは、ひょっとしたら今の時代の生きづらさを、スコンと忘れさせてくれるからなのかもしれないなー。

そんなことを思った特別編でありました。

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次回は、みんな沼にハマったあの韓国ドラマいきますよ。
来週いけるかな? 間に合うかな。

それではまた、土曜日に。
 

イラスト/白ふくろう舎


【画像】篠原涼子、鈴木保奈美……ドラマヒロインの髪型を徹底分析!>>

前回記事「ギャップが女の魅力を作る。『ハケンの品格』篠原涼子の隠しテクとは?」はこちら>>

 
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