ヘアライターさとゆみ(佐藤友美)の新連載。ニュースな女性たちのヘア&メイクをチェックするコラムです。今回は、2000年に放送された『やまとなでしこ』の20周年特別版をレビューします。

 
【ドラマ解説】
貧しい家に生まれ育った神野桜子(松嶋菜々子)は、「愛よりお金」を信条に合コンをくり返す客室乗務員。そこで出会ったのが、中原欧介(堤真一)。本当は借金だらけの魚屋で働く欧介を、桜子は「過去最高のお金持ち」と勘違いし、大病院の御曹司である東十条司(東幹久)から欧介に乗り換えることに。
玉の輿を狙う桜子と、本当のことを言い出せない欧介の恋は、桜子の後輩、塩田若葉(矢田亜希子)を巻き込みながら進む。
全11回で最高視聴率34.2%を叩き出した伝説のラブコメディが、2週連続4時間の特別版として復活した。

【画像】篠原涼子、鈴木保奈美……ドラマヒロインの髪型を徹底分析!>>

 


「お金」の桜子も「愛」の若葉も、一途でいられた2000年


ヘアライターのさとゆみです。

Twitterのトレンドに「矢田亜希子」「私は悪くなーーーい」「お塩先生」「東十条さん」などが続々ランクインするほど話題になった、『やまとなでしこ』の2020年特別版。みなさん、チェックしました?

いやー、編集でかなり短くなっていたとはいえ、何度見ても、スカッと気持ちいいラブコメです。
女は可愛く、男は優しい。悪い人が一人も出てこない。みんな生きることに一生懸命。全員健気。これほど読後感の清々しいドラマもなかなかないですな。

と思う一方で、今回の特別編を見ながら「これ、20年前だから作ることができたドラマなんだろうなあ」と、しみじみ感じたりもした。

というのも、今の時代って
「男は、金か、愛情か」
と、二択で差し出せるほど、シンプルじゃなくなったよね

と思うからです。

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このドラマの魅力は、虎視淡々と玉の輿を狙う桜子が、めちゃくちゃチャーミングに見えるところにあると思う。それは、もちろん、松嶋菜々子さんが可愛いっていうのもあるんだけどね。それだけじゃない。

↑顔まわりの毛を外ハネにするサーフヘアは、表情を明るく生き生きと見せる髪型。おしとやかなだけじゃない、「自分の欲望にまっすぐな、現代的(2000年当時の)やまとなでしこ」を表現する桜子のキャラにぴったり。


「愛情で人が幸せになれますか?」
「男の価値は、財産、遺産、不動産です」
「貧乏人だとわかって、嫌いになりました」
「女は27歳がピーク」
「ハンサムな貧乏人と、ブオトコのお金持ち。どっちが幸せにしてくれると思う?」
「顔や身長は遺伝だけれど、お金持ちになるのは努力でしょ」
「私は、悪くなーーーーい!」

などなど、次から次へとパワーワードを炸裂させる、桜子。

でも、暴言とも思える言葉を吐く桜子が「感じ悪い女」に見えないところが面白い
それはなぜかって、お金のためなら80歳でも見た目がイマイチでも一律平等に口説く「一貫性」のためだと思うんですよ。自分の欲望に忠実で、自分をごまかそうとしない。「白馬の王子様」を射止めるために、ひたすらまっすぐ。
だから、いっそ清々しいし、むしろピュアだし、嫌な女に見えないし、応援したくなっちゃう。

それはもう一人のヒロイン、矢田亜希子さんが演じる若葉も同じです。
えぐいくらい可愛らしく初々しい若葉ちゃんは、桜子と対照的に、欧介の「人柄」に惚れる役どころ。でも、向かう先が違っても、白馬の王子様を求める、想いの一途さの強度は同じなんですよね。

桜子は、自分の信条に一途だし、
若葉は、自分が感じる愛情に、一途。

↑若葉もやはり、快活な印象の外ハネサーフヘア。前髪をおろしている分、桜子よりもフレッシュな印象。CAなのに大丈夫? というくらいギリギリの明るい髪色が、若さを象徴する。


というわけで、桜子は桜子なりに、若葉は若葉なりに、自分の気持ちにまっすぐ生きているところが、ファンになっちゃう理由だと思うのだけれど。

今の時代だと、なかなかこうはできない、って思うんですよね。

 
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