自分の人生に責任を持ち、良いことにも悪いことにも真正面から向き合うその生き方が、世界中の女性たちから共感を集めているメイ・マスクさんは、「年をとっても、女はテンポをゆるめる必要はない」と語ります。

 

「わたしが年をとるのを恐れないのは、人生が『10年ごとによくなっている』から。3人の子どもたちを授かったことを除けば、わたしの20代はひどいものだった。30代も最悪だったし、40代はなんとかやっていくので忙しかった。50代になってニューヨークで新しい生活を始め、事業を立ち上げた。友だちを探す努力をしたのはこの時期。60代は子どもたちと孫たち、仕事に囲まれ、少し落ち着いた生活を送れるようになった。そしていま、わたしはこれまでにないほど忙しい。予想外だけれど、わたしはこの生活が気に入っている」

 

「もし、あなたがわたしから何かを学ぼうと思ってくれるなら、この言葉を覚えておいてほしい。『年をとるのを恐れないこと。そして、年をとるのを恐れない友だちと付き合うこと』。いろいろな年代の友だちと楽しく過ごそう。あなたが友だちに好かれているのは、あなたが魅力的でおもしろく、賢くて自信にあふれ、それにきっとスタイリッシュ(と自分で思っている)だから。相手が何歳だろうと、その人の意見に耳を傾け、親切にしよう。もし誰かから、あなたは年をとりすぎていると言われたら、とくにデート相手からそう言われたら、さよならを言おう」

 

「72歳は最高!」そう断言するメイ・マスクさんの言葉の一つひとつが、人生100年時代を生きる私たちの背中をそっと押してくれるはずです。

『72歳、今日が人生最高の日』

著者:メイ・マスク 訳:寺尾まち子、三瓶稀世 集英社 1600円(税別)

白髪のモデルとしてブレイクしたイーロン・マスクの母が、その波乱万丈の人生を綴った自叙伝。年をとることを怖がらずに、女性が自らの手で幸せを掴むためのヒントが詰まった一冊です。


構成/金澤英恵
(この記事は2020年8月5日に掲載されたものです)