家族に紹介するにあたって、まずは仲良しの兄に相談すると、10個上でバツイチということですごい拒否反応が。「妹の結婚相手は何も問題がない人がいい」という兄に、真梨さんは大号泣。

母親にメールで「結婚したい人が居る」と連絡したところ、「とにかく一度帰って来なさい」と言われ、実家に帰ると父親がノートとペンを持って「相手の名前は?」と事情聴取開始。

「相手の写真を見せなさい」という父親に「そんなの持ってない」と答えると、「お前大丈夫か、騙されてないか?」とお父さん。そりゃそうだ(笑)。

母親にも「反対するつもりはないけど、普通は男の人が女の人の家に挨拶しに来るものなのよ」と諭され、正男さんの釣書を用意することに。それでも、真梨さんの計画に「一緒に暮らさないのに不妊治療する意味がわからない」と家族からは非難轟々。

そんな紆余曲折あったものの、結局、真梨さんと正男さんが九州から東京に戻って来る日にみんなで食事をすることになりました。


家族と対面。そのときみんなの反応は……


真梨さん:父は「反対する気はない。だけど全てが急すぎて、よくわからない」。兄は泣いてしまって、「妹は結婚がもし嫌になっても、そういうのが言えない子。そういうところがある子だから、そこは理解してあげて欲しい」と。

さかい:お兄様、真梨さんのこと大好きなんですね。

真梨さん:そうなんです。でも全体的には、彼の平和な性格にみんな安心して、ウエルカムムードでした。そしてあとから父は、正男さんに「夫はこうあって欲しい、お互い思いやって欲しい」というメールを送ったみたい。

その帰国のときにふたりは入籍届に記入するのですが、真梨さんが「今年は令和2年だから2月22日に入籍するカップルが多いらしいよ」という話をすると、ロマンティストの正男さんは「じゃあ俺たちもそうしよう」と言うので、真梨さんは2月22日に、正男さんなしで区役所に入籍届を持って行くことに。

「ひとりじゃかわいそう」ということで、ご両親が着いて来てくれたのですが、この日の入籍は本当に人気だったようで、結婚届を提出するだけのために、1時間も行列に並んだそう。


別々に暮らす新婚生活の実態とは!?


さかい:もしかして、1月からふたりは一度も会ってないということですか?

真梨さん:そうなんです。4月に向こうに遊びに行こうと思っていたら、コロナで行けなくなってしまって。だけどコロナ禍で距離が縮まったんですよ。

さかい:会ってないのに、距離が縮まる?

真梨さん:はい。コロナ前は、毎日LINEで「おはよう」「おやすみ」を言うくらいだったのが、外出自粛で家に居るようになったから、ビデオ通話でずっと会話してるんです。

東京の昼間が、N.Y.の夜。真梨さんは朝起きたら正男さんにLINEビデオ通話をかけて、最近では一緒に筋トレを楽しんでいるそう。

 

真梨さん:ビデオ通話で繋いだまま、一緒にYouTubeのワークアウト動画を観ながら1時間。あとは、一緒に話しながら走ったり。最近では一緒にメディテーションしたりもしています。あとは、彼が自分の自画像や、私と彼について書いた空想小説を送ってくることもあるんですよ。変わってるでしょう(笑)。

 

さかい:離れていても、繋がっていられるように色々工夫されてるんですね。

真梨さん:セックスも、会ってできないからって、彼がセックストイを送って来たんですよ。それでビデオ通話しながらしよう、って。遠隔で操作できるバイブがあるんです。ほかにも、お風呂がローション化する入浴剤とか……。


すごい。正男さん、イマジネーション全開(笑)! でも夫婦のセックスって、飽きないようにするためにそういうクリエイティブな発想が大事。そうやって色々楽しめるふたりなら、これからもレスになることはなさそう。

真梨さん:彼が言ってたんです。「俺たちみたいに強烈な不便さを感じたときに、強烈なアイデアが生まれる。それに、一緒に暮らしてたら一緒にご飯を食べて一緒に寝るのは当たり前。だけど俺たちは一緒に暮らしてないから、一緒に何かをすることに有り難みを感じられる」って。一緒に住んでいるかどうかなんて関係ない。一緒の時間を過ごすことが大切なんだなと思えたのも、彼のおかげです。

おふたりは今後、コロナ禍が落ち着いたら結婚式をして、そのうちどこかで一緒に暮らすことを考えているとか。

真梨さん:日本だと「夫婦ってこうあるべき」という固定観念がすごくあって、そこに当てはまらないと結婚しなかったり、離婚したりしちゃう。私も30代のときはそうだったから結婚したくないしできないと思ってました。だけど私たちみたいにいろんな結婚のスタイルがあるってことを、もっと多くの人に知って欲しい。頭で考えるんじゃなくて、ハートで結婚するカップルが、もっともっと増えたらいいなと思います。
 

イラスト/いとうひでみ
構成/川端里恵(編集部)

 

前回記事「交際ゼロ日。会って2度目で国際別居婚を決めた理由。」はこちら>>

 
  • 1
  • 2