「希望する働き方」をお聞きしてみると「フルタイム正社員」を希望する人は2割程度と少なく、多くの人は時短やフリーランスなど時間的な自由度の高い形を望んでいます。回答者の75%がお子さんがいることもあり、子どもの預け先や育児との両立の兼ね合いが大きそうです。

 

日本の会社でリモートワークする人も
一方で帯同後も「キャリア継続できている」という4割の方々はどのように仕事をしているのでしょうか?

 

「日本に在住していた時の企業・組織で継続して働いている」人が11%を占めているのは非常に興味深いです。少しずつですが、柔軟性の高い制度で社員の就労継続を支援する企業が増えているようです。フリーコメントでは、「時差出勤、リモート勤務など前例のない働き方を認めてくれた」「リモートでもできる海外案件の一部を任された」「駐在員としてのポジションをオファーしてもらった」などの具体的な事例がありました。

また、「働き続ける」とは多少異なるものの、「転勤帯同を理由にした休職制度」があったり、「退職後5年間まで再雇用制度を利用できる」といったコメントも見られました。

 

時間的な自由度の高さならフリーランスが◎
キャリア継続できている人たちにその雇用形態についてたずねてみると「フリーランス(業務委託)」が36%でトップでした。この中には「契約を(社員から)業務委託契約に切り替えて仕事を継続している」という日本に在住していた時の企業・組織で継続して働いている人もいれば、帯同を機に独立してフリーランスで仕事をしている人もふくまれます。いずれにしても子育てとの両立から時間的な自由度の高い働き方を望んでいる人が多い現状を踏まえれば、フリーランスはキャリア継続の有効な打ち手になります。

 

駐在員配偶者の方のキャリアに関する問題はさまざまな要因が複雑にからみあって発生しています。国や地域によってはビザや法律の問題で就労が難しいケースがあるのも事実です。

そんな中、今回の調査で、一部の企業が時差勤務やリモート勤務などの柔軟な制度を取り入れることで駐在員配偶者が働き続けることを実現していたのは素晴らしいことです。また、フリーランス(業務委託契約)で働いている人が3割以上を占めたことにも希望が持てます。ビザや法律の問題がクリアできるのであれば、こうした柔軟な働き方がキャリア継続にあたっての大きな救いになります。一方で、これだけ「共働き」が増えている現状を考えれば、「駐在員配偶者が働いていないこと」を前提とした企業のしくみや制度も見直しが必要な時期に来ているように感じます。私自身は自社のサービスを通じて一人でも多くの方の「自分らしい生き方」を実現することのお力になっていければうれしいです。
 

前回記事「コロナ禍にあえて独立した40代女性。その決断を後押ししたものは」はこちら>>

 
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