韓国カルチャーに精通し、写真を始める以前は芸能事務所でマネージャーをしていたというフォトグラファー目黒智子さんが、Nizi Project(ニジプロジェクト)から生まれたNiziU(ニジュー)の人気の理由を分析します。

Nizi Project(ニジプロジェクト)から生まれた、9人組のガールズグループ、NiziU(ニジュー)の快進撃が止まりません。プレデビューながら、デジタル・ミニアルバム「Make you happy」は歴代1位のダウンロード数で「オリコン週間デジタルアルバムランキング」で初登場1位を獲得したほか、タイトル曲のミュージックビデオのYouTube再生回数は1億回を突破(9月8日現在)。著名人にもファンは多く、GLAYのTERUさんや賀来賢人さん、榮倉奈々さんもファンを公言しています。また、サビの“縄跳びダンス”のカバーに挑戦した動画をSNSにあげる人が続出し、バラエティ番組『今夜くらべてみました』ではNiziU特集も組まれるなど、ますます盛り上がりを見せています。

なぜこれほどまでにNiziUが流行っているのか? なぜNizi Projectに多くの人が夢中になっているのか? その理由について考察してみました。
 

コロナ禍で普段はK-POPに興味がない層にまで届いた

写真/アフロ

まず簡単にNizi Project、そしてNiziUについておさらい。Nizi Projectとは、韓国の大手芸能事務所JYPエンターテインメントとソニーミュージックがタッグを組み、日本から世界を目指すガールズグループを作ろうという日韓共同プロジェクト。メンバーそれぞれの色(個性)が重なり、美しい光を放つ“虹”のような存在を発掘・育成するという想いから命名されたそうです。日本8都市、ハワイ、LAでの1万人超が参加した地域予選を経て残った26名で短期東京合宿、そこからさらに選抜された13名で約半年間韓国でトレーニングを積み、課題テスト(ミッション)をこなしながらメンバーを決める過程をオーディションバラエティとして放送していきました(現在もHuluで視聴可能)。

これほどまでに多くの人が熱狂した理由のひとつに放映されたタイミングがあると思います。オーデョションが佳境を迎えた時期とコロナ禍によるステイホーム期間がちょうど符合。番組自体の放映は深夜でしたが、朝の情報番組「スッキリ!」で大々的に特集が組まれていたことなどもあり、普段K-POPに興味のない層もNizi projectを知ることになりました。
 

 

オーディションバラエティでありながらとても”健全”


これまでにも多くのオーデョション番組はありましたが、Nizi Projectはそこに留まらず、とても良質なドキュメンタリーとして見ることができました。ミッションごとに順位をつける過酷さはあれど、あくまでも主題は“自分との戦い”。ライバル視させていがみ合うような演出もなく、仲間と協力し合い、笑い、涙しながら、日々の厳しい練習に励み、成長していく姿は清々しく、観る側をとてもポジティブな気持ちにさせてくれました。純粋にもっと上手くなりたい、限界を超えるんだ、と練習室で黙々と鏡に向かう姿勢が本当に胸にグッとくるんです。過度な演出や誹謗中傷が社会問題となっている昨今、そして落ち込み気味な時期に、その真逆でとても健全で希望に満ちたNizi Projectは安心して気持ちよく見られたことも多くの視聴者を虜にした理由のひとつだと思っています。