貧血予防と、鉄分サプリを摂取する効果的なタイミング

 

最後に予防についてもお話しします。残念ながら貧血の原因の多くは予防ができない病気です。しかし、例えば偏食による鉄やビタミンの不足を考えれば、バランスの良い食事を心がけることが貧血の予防につながると言うことはできます。

 

また、生理が重く出血が多いという場合には、婦人科での診察を受け、出血が多くなる原因を探ること、そして鉄のサプリメントを取ることで貧血を未然に防ぐことができます。

鉄のサプリを効果的に服用するコツとして、食後だと吸収が悪くなることが知られており(参考2)、胃が空っぽのタイミングで服用すると効果が高まります。一方、空腹時に取ると気持ち悪さが出るという方もいます。起きがけや寝る前などのタイミングを試し、気持ち悪さが出るようであれば、食後に変更します。その場合、代わりにビタミンCと一緒にとることで、吸収がよくなることも知られています(参考3)。

逆に、先に紹介した「立ちくらみ」や「神経調節性失神」の症状を根拠に、むやみやたらに鉄のサプリメントを取るということは避けなければいけません。鉄はあればあるほど良いというわけではなく、過剰になればむしろ体調不良につながってしまいます。あくまで鉄欠乏やそれによる貧血があるときにこそ鉄は有効なのです。
 

関連記事
冷え性、間違いだらけの「原因と対策」【8つの質問に医師が回答】>>

医師が語る「むくみ」を甘く見てはいけないワケ。受診すべき危険な場合は?>>

血圧を下げる6つの方法。「コロナで高血圧の治療を先延ばし」の危険度>>


参考文献
1    Beutler E, Waalen J. The definition of anemia: What is the lower limit of normal of the blood hemoglobin concentration? Blood. 2006. DOI:10.1182/blood-2005-07-3046.
2    Alleyne M, Horne MK, Miller JL. Individualized Treatment for Iron-deficiency Anemia in Adults. Am. J. Med. 2008. DOI:10.1016/j.amjmed.2008.07.012.
3    Siegenberg D, Baynes RD, Bothwell TH, et al. Ascorbic acid prevents the dose-dependent inhibitory effects of polyphenols and phytates on nonheme-iron absorption. Am J Clin Nutr 1991. DOI:10.1093/ajcn/53.2.537.

この記事は2020年9月1日に配信したものです。
mi-molletで人気があったため再掲載しております。