プライベート空間だった家の中が、在宅ワークで仕事空間になり、やるべきこととやりたいことの優先順位がつけづらくなった、という方もいるのではないでしょうか。オン・オフのスイッチ切り替えが難しい昨今の生活環境ですが、司馬理英子先生の監修の『ADHDの人の「やる気」マネジメント 「先延ばしグセ」を「すぐやる」にかえる!』によれば、ADHDの人はやる気モードになるまで、人一倍の労力を要するそう。そこで今回は、ADHDの人がやることを先延ばしせず、なるべくラクして達成するためのポイントを、本書から特別に一部抜粋してご紹介します。 毎日全力投球で、仕事に家事にとパニックになりがち……という方も、ぜひ参考にしてみてくださいね!

 

ADHDはAttention-Defi cit/Hyperactivity Disorderの略で、「注意欠如・多動症」と訳されています。近年、一般にも知られるようになってきた発達障害のひとつです。ADHDというと、片づけられない人、という印象が強いかもしれませんが、悩みはそのほかにもいろいろあります。ADHDには、3つの特性があります。

 

①不注意……集中力が持続しない
忘れ物やなくし物が多く、しょっちゅうもの探しをしています。片づけが苦手なのも不注意のため。気が散りやすく、とりかかるのが遅れぎみのうえ、集中しつづけられないので、ケアレスミスをしたり、最後までやりとげられなかったりします。

②衝動性……待つことができない
行列に並ぶ、相手の話をじっくり聞くなど、待つことが苦手です。考えずに行動したり発言したりするので、失敗やトラブルのもとになりがちです。

③多動性……落ち着きがない
たいくつなことや興味のないことには耐えられず、眠くなったりします。体のどこかや頭の中が常に動いていて、いつもバタバタしている感じ。せっかちです。

ADHDの人は、やる気があっても、行動に移すためのスイッチがなかなか入りません。そのスイッチがどこにあるのかを考えるには、発達障害の原因がヒントになります。

発達障害は、知能や人間性、本人の努力の問題ではなく、脳の機能のアンバランスによるもの。ADHDでは、脳の機能のうち、やる気を行動に移す機能がうまく働いていないということです。

つまり、やる気を行動に移すスイッチは脳内にあり、スイッチが入りにくいのは、ADHDの人の脳のクセのようなものです。