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日本人のセックスの平均「性交時間は約30分」医師が分析する深刻な男女の溝

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セックスはとてもプライベートなエピソード。心を許している友人にさえ話すのはためらわれる話題です。もしも、セックスに関する悩みを抱えていたとしても、「自分はおかしいの?」「これって普通なの?」、と判断しようにも、噂や間違った情報が氾濫しています。
本当の日本人の正しい性の実態を捉えるために、今回は最新調査データから性についてアプローチ。

先日コンドームメーカー「ジェクス」が発表した、全国男女5000人を超える“性”の大規模実態調査。その調査を実施した、「日本家族計画協会」所長の北村邦夫氏(産婦人科医)と共に、データから日本人の性事情を紐解いていきましょう。

 

※『ジャパンセックスサーベイ2020』は世の男女が性と正しく向き合える幸せな社会づくりに貢献することを目的とした大規模調査。
2012年、2013年、2017年に引き続き、一般社団法人日本家族計画協会家族計画研究センターが「ジェクス」からの依頼を受け、2020年2月21日~24日にインターネットで実施。

 

 

40代女性からセックスにかかる時間は30分をきる


まずは、気にしている人の多い1回のセックスにかかる時間です。これは、お互いに体を触れあってから終わるまでを指していて、男性31.0分、女性29.1分と平均約30分。最長は20代男女で、最短は60代の男女と、若い世代ほど長いことがわかりました。

 

以前、NHKが1999 年に実施した「日本人の性行動・性意識」(NHK出版、2002)によれば、セックスの所要時間は平均33 分で、約20年たった本調査でも大きな変化はありません。
ただ、女性は40代以降、30分を切るようになり、性交時間が短くなっていきます。
「いいセックスかどうかに、時間はさほど重要ではないと思います。付き合いでしているなら30分は長いでしょうし、心地良いなら短いかもしれません。お互いの関係性によるでしょう」と北村先生。
長いからといって一概にいいセックスという訳ではないのです。

それではデータで見えてきた、日本人のセックスの問題点を検証していきましょう。


懸念点① 「セックスしたい」男性8割、女性4割のギャップ


「セックスしたいか」の質問では、「したい」男性が77.9%と、女性41.4%の約2倍。男性は50代が「したい」のピークで85.9%、それ以降も高く60代でも72.4%。
一方、女性は20代の60.2%をピークに、年齢と共に下降し60代ではわずか18.0%。50代以上の男性の7~8割はしたいのに、女性は「したいと思わない」が40代5割、50代7割、60代8割となり、男女差が顕著です。

 

「人間の性欲は男性ホルモンに支配されていると言われています。男性ホルモンが高い時期は性欲が高いはずですが、結果は違っていて、20代男性より50代の男性の方がしたいが高かったのです。若者の草食化が読み取れます。

女性の場合は、“四十し盛り”という言葉がありますが、更年期前後で女性ホルモン分泌が低下し、相対的に男性ホルモンが高くなる時期は性欲が上がるはずですが、これも調査結果は異なりました。『疲れた』『面倒くさい』といった環境要因が、女性の性欲を奪っていると推測されます」(北村先生)。
性欲を左右するのは、生物学的な体内のホルモンバランスよりも、生活環境やメンタルの影響が強いことがわかります。

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