メイの「選択」に自分の本心が透けて見える!

撮影/岩田えり(ミモレ2019.10.10より)

山本 でも別の人に聞いたら、「ナギサさんだってメリットあるよ!」と言うの。結婚したら老後が寂しくないし、若い妻だから看取ってもらえる安心も持てるわけだしって。なるほどなあ、と思いましたよ。

 

編集N たしかにそうですな。

山本 一方で、ナギサさんのライバルだった田所支持の女性などは、「ナギサさんより20歳若い田所は、ナギサさんより20年多く稼ぐ。メイは絶対田所にしておくべき」という見解を持っていたの。つまり、夫に養ってもらいたい人にとっては、50歳のナギサさんとの結婚は全く正解ではないわけだよね。

編集N はあ、そもそも私はナギサさんとの結婚が考えられませんので。普通に若くて稼ぐ旦那がいいです。まあでも、ナギサさんが西島秀俊だったらいいかなあ……。

山本 つまり、Nさんにとっての結婚における最重要要素はイケメンであるか、ということですよ!

編集N そうかも。今、自分で言って「あれ⁉」と思いました。私はつまるところ、年齢も年収も超越したイケメン好きです(笑)。

山本 世間一般の“結婚の正解”に振り回されず、自分が本当に求めている結婚を真剣に考える。これって実はすごく大切なことなのに、みんなあまりしないまま結婚して、そして何となく違和感を覚えながらも我慢し続けたり、「もうムリ!」となって離婚したりする。でも『ナギサさん』の場合、男女の役割が逆だったり、年齢差が大きかったりと、いろいろ“普通”じゃない設定だったから、「自分だったらどうだろう?」と考えるきっかけをくれたような気がします

編集N しかもドラマ自体は一切、押しつけがましいメッセージ性を発してなかったところがまた良かったですよね。ただただほのぼのしていたからこそ、自分の気持ちに素直になって考えられる気がします。

山本 これからは何事も多様な社会になってきますから、「自分が本当に求めるもの」が分かっていないととても生き辛くなってくると思うのですよ。『ナギサさん』はそういう意味でも、すごく時代に合ったドラマだった気がします!

編集N はあ、もっとシンプルに幸せ感に浸って見ていいドラマな気もしますけどね……。
 

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【再放送スケジュール】
■TBS『私の家政夫ナギサさん』ディレクターズカット版全話一挙放送SP
12月28日(月)
あさ 6時~7時50分
あさ 8時~11時50分
ひる 12時~18時30分
文/山本奈緒子 構成/藤本容子


前回記事「ドラマ『私の家政夫ナギサさん』最終回は大森南朋の男モードに萌え必至」はこちら>>

著者一覧
 

映画ライター 細谷 美香
1972年生まれ。情報誌の編集者を経て、フリーライターに。『Marisol』(集英社)『大人のおしゃれ手帖』(宝島社)をはじめとする女性誌や毎日新聞などを中心に、映画紹介やインタビューを担当しています。

文筆家 長谷川 町蔵
1968年生まれ。東京都町田市出身。アメリカの映画や音楽の紹介、小説執筆まで色々やっているライター。著書に『サ・ン・ト・ランド サウンドトラックで観る映画』(洋泉社)、『聴くシネマ×観るロック』(シンコーミュージック・エンタテイメント)、共著に『ヤング・アダルトU.S.A.』(DU BOOKS)、『文化系のためのヒップホップ入門12』(アルテスパブリッシング)など。

ライター 横川 良明
1983年生まれ。大阪府出身。テレビドラマから映画、演劇までエンタメに関するインタビュー、コラムを幅広く手がける。男性俳優インタビュー集『役者たちの現在地』が発売中。twitter:@fudge_2002

メディアジャーナリスト 長谷川 朋子
1975年生まれ。国内外のドラマ、バラエティー、ドキュメンタリー番組制作事情を解説する記事多数執筆。カンヌのテレビ見本市に年2回10年ほど足しげく通いつつ、ふだんは猫と娘とひっそり暮らしてます。

ライター 須永 貴子
2019年の年女。群馬で生まれ育ち、大学進学を機に上京。いくつかの職を転々とした後にライターとなり、俳優、アイドル、芸人、スタッフなどへのインタビューや作品レビューなどを執筆して早20年。近年はホラーやミステリー、サスペンスを偏愛する傾向にあり。

ライター 西澤 千央
1976年生まれ。文春オンライン、Quick Japan、日刊サイゾーなどで執筆。ベイスターズとビールとねこがすき。

ライター・編集者 小泉なつみ
1983年生まれ、東京都出身。TV番組制作会社、映画系出版社を経てフリーランス。好きな言葉は「タイムセール」「生(ビール)」。18年に大腸がん発見&共存中。

ライター 木俣 冬
テレビドラマ、映画、演劇などエンタメを中心に取材、執筆。著書に、講談社現代新書『みんなの朝ドラ』をはじめ、『挑戦者たち トップアクターズ・ルポルタージュ』ほか。企画、構成した本に、蜷川幸雄『身体的物語論』など。『隣の家族は青く見える』『コンフィデンスマンJP』『連続テレビ小説 なつぞら上』などドラマや映画のノベライズも多数手がける。エキレビ!で毎日朝ドラレビューを休まず連載中。

ライター 渥美 志保
TVドラマ脚本家を経てライターへ。女性誌、男性誌、週刊誌、カルチャー誌など一般誌、企業広報誌などで、映画を中心にカルチャー全般のインタビュー、ライティングを手がける。yahoo! オーサー、コスモポリタン日本版、withオンラインなど、ネット媒体の連載多数。食べること読むこと観ること、歴史と社会学、いろんなところで頑張る女性たちとイケメンの筋肉が好き。寄稿中の連載は、
「yahoo!ニュース」『アツミシホのイケメンシネマ』
「COSMOPOLITAN」日本版『女子の悶々』
「COSMOPOLITAN」日本版『悪姫が世界を手に入れる』
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ライター 山本奈緒子
1972年生まれ。6年間の会社員生活を経て、フリーライターに。『FRaU』や『VOCE』といった女性誌の他、週刊誌や新聞、WEBマガジンで、インタビュー、女性の生き方、また様々な流行事象分析など、主に“読み物”と言われる分野の記事を手掛ける。

 
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