血圧が高いと、心筋梗塞、脳梗塞の危険性が上がる

 

それでは、一体なぜ血圧を気にし、治療をしなければいけないのでしょうか。高血圧の治療薬を始める際、「数字が大きいだけで、症状もないし、体調も何も困っていないのだから治療を受ける必要はないのではないか」というご質問を受けることもあります。これは、大きな誤解です。

 

実際、血圧の高い、低いだけで症状が出ることはほとんどありません。多くの場合、「血圧のせいで◯◯の症状が出た」とおっしゃっている方には、何か別の原因があります。そこが、高血圧を治療する意味が見えにくい点かもしれません。実は、高血圧を放っておいても、しっかり治療をしても「今のあなた」にはあまり影響はありません。

しかし、こちらをご覧ください。

Lewington S, Clarke R, Qizilbash N, et al. Age-specific relevance of usual blood pressure to vascular mortality: a meta-analysis of individual data for one million adults in 61 prospective studies. Lancet 2002; 360:1903.を参考に作成


このグラフは、あなたが今、どんな年齢であっても、血圧が高ければ高いほど、心筋梗塞で命を落とすリスクが高くなるということを示しています。

もう一つ、脳梗塞との関係を示したグラフもお示しします。

Lewington S, Clarke R, Qizilbash N, et al. Age-specific relevance of usual blood pressure to vascular mortality: a meta-analysis of individual data for one million adults in 61 prospective studies. Lancet 2002; 360:1903.を参考に作成


脳梗塞のリスクも、やはり血圧が高ければ高いほど上昇するということが分かります。

このように、高血圧を確認し、治療するのは、「将来」脳梗塞や心筋梗塞になって命を奪われたり、寝たきりになってしまったり、血圧の治療以上にたくさんの治療を受けなければならないような生活を「未然に」予防するため、そんな大きな意味があります。「今がよければそれでよい」ではないのです。

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