モデルとして、テレビ出演やラジオパーソナリティとしても活躍中の浜島直子さん、愛称“はまじ”。44歳の彼女が、ファッション、ビューティ、ライフスタイル、さまざまなジャンルで新しい自分を発見していく連載です。

シャツワンピース¥92000/セヤ、ベスト¥43000/マディ、デニム¥16000/ジャーナル スタンダードラックス(ジャーナル スタンダード ラックス 表参道店) イヤリング(両耳用)¥18000/プティローブノアー その他/スタイリスト私物

10月2日、はまじが約2年という歳月をかけて丁寧に書き綴った初の随筆集『蝶の粉』が発売されます。その中にファッションへの“初恋”を綴った一篇があります。彼女がいったいどんな「ファッション」遍歴を辿ってきたのか。モデルはまじのファッション遍歴を伺うと、そこには私たちも熱狂した雑誌やブランドの名前がずらりと並びました。

 


おしゃれに目覚めた10代のとき、読みあさったファッション誌

高校二年生のある日、当時の十代女子のバイブルだった雑誌『mc Sister』を部屋で一人熟読していた。買ってきたばかりの最新号を目次から順番に丁寧にページをめくっていき、いつものように一文字も読み落とさないよう、スタッフのクレジットまで覚えてしまうほど、舐め回すように読み進めていった。

―― 「蝶の粉」より一部抜粋

モデルになる前から洋服が大好きだったはまじ。毎月たくさんのファッション誌を読んでいたといいます。

はまじ「初めて読んだのはSEVENTEENとnon-no。その後、mc SisterやOliveに熱中しました。他にもJunnie、PeeWeeにCUTIE……。懐かしいですね。本当に隅から隅まで読んでいて、それこそスタッフクレジットまでチェックしていました。だから、モデルになってから撮影現場で会ったときに、あのページを撮っていた◎◎さんだ!とひとり興奮していたのを覚えています」

中でもとくに影響を受けたmc Sisterをめくっていたとき、彼女のファッション遍歴に残る運命の出会いがありました。それが「初恋の手ざわり」という一篇に登場するドゥファミリィの黒いタートルネックです。高校生の女の子にしては渋好みにも思えますが、そこにはこんな理由がありました。

あぁ、なんて素敵。私もこれを着れば凛とした女性になれるのではないか。 このタートルネックに首をゆだねれば、無造作にあげたポニーテールのおくれ毛さえも、アクセサリーに変えてくれるのではないか。そう、まるでパリジェンヌのように! 欲しい。欲しい。欲しい。

―― 「蝶の粉」より一部抜粋

はまじ「そのページの世界感が本当に完璧でした。ポートレートのような写真で、イノセントでパリジェンヌのような少女性に引き込まれたんです。もう、震えるほど欲しくてお年玉を握り締めてそこに載っていたタートルネックを買いに行きました。北海道に住んでいたので、買いに行くなら札幌の五番館が多かったかな」

それはまるで恋に落ちるかのように。ファッションと雑誌が創り出す世界は、彼女を魅了します。


世界のどんなメゾンより、トップ・オブ・トップはドゥファミリィ


はまじ「当時の私にとって、この世のおしゃれ界の頂点、トップ・オブ・トップがドゥファミリィでした。雑誌の誌面で見かけるビジュアルも、お店でいただく写真集のようなカタログも、それから巾着袋になったショッパーも本当に大好きで。あとはナイスクラップやマックレガー。タータンショップヨークも好きだったな。それからフレッドペリーやラコステのポロシャツ! そうそう、mc Sisterでよく多田スポーツというクレジットが載っていて、『いつか多田スポーツでスニーカーを買う』というのが夢でした(笑)。とにかくおしゃれが大好きで、アルバイトも洋服を買うためにしていたようなものです。バイト代で初めて買ったのは、アニエスベーのライトグレーと白のボーダーカットソー。今みたいにファストファッションがなかった時代だから、欲しいもの
は頑張って買うものでしたね」

 
  • 1
  • 2